昨年末から始まった民泊条例の動きですが、1月29日に東京都大田区で全国で初めて民泊条例が施行されました。

2月中旬くらいには初の認定事業者が出てくるようです。

 

民泊条例申請受付の開始

1月29日から東京都大田区で民泊申請の受付が始まりました。

同区の広報課によると、事業希望者の申請初日となったこの日は、午後5時の窓口終了までに全部で2件の申請があった。ほかに、窓口に相談に来たのが11件、電話での相談が48件あったという。

びっくりするくらい少ない申請数ですよね。

今年2016年1月時点でAirbnbに登録されている大田区内の物件は175軒と言われていますので、申請が2件というのはかなり少ない印象を受けます。

これは、大田区が国家戦略特区で旅館業法適用外ということでも、それにかわる民泊条例があります。

おそらく民泊条例で規定されている、以下のような条件を満たせないケースが多いからだと思います。

  • 滞在期間は6泊7日以上。
  • 同じ建物や敷地から10メートル以内に住む住民への説明義務。
  • 床面積は宿泊者1人当たり3平方メートル以上。
  • 旅券提示で本人確認。
  • 旅券番号を記した名簿を3年間保管。
  • 周辺住民の苦情窓口の設置。
  • 区が立ち入り調査の権限を持つ。

旅館業法からみると条件はかなり緩和されていますが、それでも一般の家をすぐに貸し出せるような条件ではありません。

 

旅館業法の緩和の動き

こういった戦略特区内での民泊条例の動きに対して、旅館業法そのものの規制緩和の動きもあります。

民泊はインターネット仲介サイトを通じて全国的に広がり、大半は旅館業法の許可を得ていない。客と貸し手、近隣住民とのトラブルも目立つため、特区とは別に厚労省と観光庁が検討しているのが、全国統一の新ルール作りだ。

既にインターネットでは特区以外の物件の貸し出しも行われています。

これを野放しにしてしまうと、そもそも旅館業法違反を黙認していることになりますので、条例での対応ではなく、旅館業法自体を規制緩和して、その規制に反するところの取り締まりを強化するという流れもあります。

 

旅館業法緩和の問題点

現在外国人観光客で宿泊施設が足りない状況に陥っているのは、首都圏や大阪などの一部の地域です。

旅館業法の緩和となると、全国共通で緩和されますので、今まで厳しい旅館業法の規制を守って営業を続けていた旅館・ホテルにとって、突然今までよりも緩い規制で参入してきた業者が増える事で死活問題になる可能性があります。

規制というのは、治安や衛生といった安全面を重視しているものも多く、あまり急激に緩和すると、後で大きな問題になる可能性もあります。

 

まとめ

当面は大田区や4月から施行予定の大阪府の民泊条例の運営を参考にしながら、旅館業法の緩和をどうするか決めるのではないかと思います。

大田区の申請受付前の説明会には100人定員のところに200人が参加するなど、民泊に対しての関心の高さを感じました。

実際申請になると、初日は2件というのは少ないと感じる反面、きちんと条例の要件を守ろうとすると、現時点で要件をクリア出来るところは多くないんだろうなあということも感じました。

今後も民泊に関する動きを注意深く見ていきたいと思います。