2015年10月に全国初となる「民泊条例」が大阪府で制定されました。

2016年1月には大阪市でも「民泊条例」が議会で可決されました。(現時点では、国や先行自治体の動向を見るため、市議会と交わした合意に基づき「10月以降の年内に施行したい」とされています。)

「大阪市って大阪府の中だから一緒じゃないの?」と思われるかもしれません。

なぜ、大阪府と大阪市で別々に民泊条例を制定したのでしょうか。

 

何故、大阪府と大阪市が別々に条例を制定するの?

どうして?大阪府の民泊条例は大阪府全域に適用されるのではありません。

独自で保健所を持つ大阪市等の政令指定都市、中核市はそれぞれ条例を制定する必要があるのです。

ですから政令指定都市及び中核市以外の市町村(37市町村)が大阪府の民泊条例の対象になります。

大阪府の民泊条例の適用外となる市町村

以下の政令指定都市及び中核市は市として保健所を持っていますので、独自で民泊条例を制定する必要があります。

  • 大阪市
  • 堺市
  • 高槻市
  • 豊中市
  • 東大阪市
  • 枚方市

 

37市町村の大阪府民泊条例に対する反応

2015年12月11日の大阪府の発表によると、以下の4つの市が今回の「民泊条例」に対して不参加を決めたと言われています。

  • 吹田市
  • 池田市
  • 交野市
  • 松原市

さらにまだ不参加は決めていないけれども民泊条例に懐疑的な狭域参加は、茨木市、八尾、河内長野市、岸和田市など28市町村にのぼると言われています。

37市町村の内32市町村が民泊条例に不参加又は懐疑的ということですから、圧倒的に消極派の方が多いということになります。

 

「広域参加」と「狭域参加」とは

民泊条例を制定後、大阪府は各市町村が参加するかしないか、また、参加する場合は、どのような範囲で民泊を認めるか、を選択出来るようにしています。

この参加する場合の選択肢を見ていきましょう。

 

広域参加とは

広域参加とは「市街区域のうち工業専用地域を除く全地域」で民泊営業を認めるものです。

これは現行の旅館業法の旅館・ホテル、簡易宿所では営業が出来ない「住宅地」特に規制の厳しい第一種低層住居専用地域でも民泊営業を認めることになりますので、かなりの規制緩和になります。

(用途地域に関しては『建築基準法の用途変更とは』で詳しくご説明しています。)

今のところ、守口市、大東市、泉佐野市、能勢町、忠岡町の5つの市町村が広域参加を予定しています。

広域参加はあまりに急に規制を緩和しすぎて、近隣住民とのトラブルを懸念して参加を見送っている市町村もあるのだと思います。

 

狭域参加とは

「市街区域のうちホテル・旅館の建築が可能な地域のみ」で民泊営業を認めるものです。

これは現行の旅館業法での旅館・ホテル、簡易宿所で営業が出来る地域と同じ地域でのみ民泊を認めるということなので、営業できる地域に関しての規制は緩和しないというやり方になります。

狭域参加を予定する市町村は、茨木・八尾・寝屋川・河内長野・岸和田・和泉・門真・箕面・富田林・羽曳野・貝塚・摂津・泉大津・柏原・藤井寺・泉南・高石・大阪狭山・四条畷・阪南市・熊取・島本・豊能・岬・河南・太子・田尻町・千早赤阪村の28市町村となっています。

大阪府民泊実施地域

 

 

まとめ

まとめ民泊は近隣住民とのトラブルが心配される反面、なし崩し的に旅館業法違反のネット民泊が広がっているという背景もあります。

市町村としては、このまま違法民泊を野放しにも出来ないので、民泊条例に参加して、府と一緒に違法民泊を取り締まりたいという思いもあるようです。

そして、今後も増え続けると予想される外国人観光客を呼び込ことで市町村の大きな収入が期待できます。

今年2016年には民泊に関する法令や規制の大きな動きがあると思いますので、今後もチェックを続けていきたいと思います。