フルローンとオーバーローン

ご自身の持ち家や相続した家を活用するような場合以外は、物件を購入して民泊ビジネスを始めるという方が多いのではないでしょうか。

不動産投資をする場合、潤沢な自己資金を持って一括で物件を購入される方はあまり多くは無いと思います。

一般的には頭金を入れて、残りを銀行などの金融機関から融資してもらうケースが多いのではないでしょうか。

このページでは、その融資の形態である「フルローン」と「オーバーローン」に関して詳しく見ていきたいと思います。

 

「フルローン」って、何?

フルローンとは、簡単に言うと、物件価格全額を融資でまかなう方法です。つまり、頭金などは入れずに、全て銀行からの融資で物件を購入することです。

ここでいう「物件価格」は「土地」と「建物」の価格のみですので、物件を購入するにあたっての諸費用は含まれていません。ですから、諸費用は自己資金で出さなければいけないということになります。

諸費用と言っても、物件価格の7%~10%と言われていますので、決して少ない金額ではありません。この点は十分注意が必要です。

 

「オーバーローン」って、何?

それでは、「オーバーローン」って一体何なのでしょうか?

金融用語で使う場合は、銀行の貸出額が預金を超過している状態のことを言いますが、不動産投資の場合は、「不動産を購入するための借入金が不動産を購入するための総費用を上回っている事」を言います。

判りやすく言いますと、「フルローン」は物件価格(土地と建物)を全て金融機関から借り入れるやり方ですが、「オーバーローン」は物件価格に加えて、物件購入にあたっての税金や手数料などの諸費用も全て借り入れるようなやり方です。

 

「フルローン」「オーバーローン」のメリット

自分の資金は使わずに借りたお金で物件を購入して、その物件で得た収入から返済をして、残った分が自分の手元に入り、さらに完済した後は自分の資産になるわけですから、問題無く完済出来ればこんなに良い話は無いと思います。

手元に自己資金がある場合は、そこから頭金を出して、さらに次の物件への投資が出来るというメリットもあります。

 

「フルローン」「オーバーローン」のデメリット

物件を購入する際には実質利回りなど予想される利回りを基に返済計画を立てますが、この想定した利回りに比べて実際の利回りが下がってしまった場合、家賃収入よりも返済額が大きいというキャッシュフローのマイナス状態になる可能性があります。(キャッシュフローに関しては『キャッシュフロー』をご参照下さい)

つまり、収入よりも支出の方が大きくなる状態です。

 

空室のリスク

空室のリスク不動産会社で紹介してもらう物件で「実質利回り」と書かれている数字は、賃貸で満室状態での利回りを想定していますので、必ずしも実際得られる利回りとは限らないのです。(詳しくは『実質利回りと表面利回り』をご参照下さい)

つまり、満室を想定したベースで利回りを計算している場合、空室が出ると、それだけで利回りが下がります。

民泊の場合は賃貸と違って、毎回宿泊客と契約する形になりますので、賃貸よりも収入が不安定になる可能性があります。

空室の日が出ると、当然家賃収入は入りません。

マンションなどの1室を購入している場合は管理費や修繕積立金などは毎月発生しますので、収入よりも返済額の方が大きくなるというケースも出てきます。そうなると自己資金から持ち出して返済しなければいけなくなりますので、十分注意が必要です。

 

金利上昇のリスク

金利を低く抑える為に変動金利で契約する場合も多いと思いますが、「変動金利」ですから、当然金利が上昇する可能性もあります。

物件の利回りが低い場合は、金利が上昇しただけで家賃収入よりも返済額の方が大きくなってしまう場合もありますので、フルローンやオーバーローンを組む場合は物件の利回りをかなり慎重に想定して、金利が上昇しても逆転しないかを検討する必要があります。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

物件価格全額を借入して、家賃収入から返済しながら、完済後は自分の資産になるとなると夢のような話しですが、そこに辿りつくまでには、さまざまなリスクもあるということをご理解頂けたことと思います。

特に、空室や金利上昇でキャッシュフローがマイナスになった状態が続くと非常に危険ですので、例えば、空室が数ヶ月続いても資金の余裕があるかどうかといったチェックも必要だと思います。

また、当然ですが、フルローンの場合は銀行などの金融機関の審査も厳しいので、誰でも利用出来るわけではありませんので、その点もご注意下さい。