表面利回りと実質利回り|民泊を始めるための不動産の基礎知識

[記事公開日]2016/02/08
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表面利回りと実質利回り

不動産屋さんの前に貼られている物件を見てみると「利回り8%」というように「利回り」と書かれているのをよく見かけますよね。この「利回り」って一体何なのでしょうか?

実は単に「利回り」といっても「表面利回り」と「実質利回り」というものがあります。

「表面利回り」や「実質利回り」とはどういったものなのか、またその違いなどについて詳しく見て行きたいと思います。

 

そもそも「利回り」って、何なの?

利回りとは利回りとは、一言で言うと「年間収益の投資金額に対する割合」です。一般的にはこの利回りを「表面利回り」と呼びます。

例えば1000万円の不動産を購入して、家賃収入が年間100万円であれば「表面利回り10%」となります。

「えー、なんか雑っ!」って思われるかもしれませんが、確かにそうなんです。

実際には税金やら維持費やらがかかるので、そういった費用も考慮しなければ正確な数字にはなりません。

しかし、税金や諸経費は年毎に変動するので、物件の指標として判りやすくするために「年間収益の投資金額に対する割合」の表面利回りを使用ているのです。

ですから、表面利回りが10%だからといって、「この物件買えば10年で元がとれるのか」とは考えないで下さい。あくまで、物件を検討する最初の段階の指標程度に考えておかれる方が良いと思います。

 

表面利回りって、どうやって計算するの?

表面利回りの計算式は一般的には下記のように表わされます。

表面利回り=年間収入÷購入価格×100

「え?」って思われませんか?私はこの式を見た時に「年間収入って、なんで物件を運営するに判るの?」って思いました。

不動産屋さんに確認したら「現在入居されている方の家賃から計算しています」と言われたのですが、「でも、その人いなくなったら、どうするの?」と素朴に疑問に思いました。

そうなんです。表面利回りは丁寧に書くと下記のような式になるのです。

表面利回り=満室を想定した年間収入÷購入価格×100

「満室を想定した」という文言が入るだけで、全然印象がかわりますよね。

空室が出た場合はこの利回りは、表面利回りの数字から大きく変わります!

ですから先程述べましたように、表面利回りは、物件を検討する最初の段階の指標程度に考えておかれる方が良いと思います。

 

売りに出ている物件の表面利回りって、どれくらい?

現在売りに出ている物件の表面利回りはインターネット上で見ることも出来ます。

例えば下記のようなサイトでは簡単に表面利回りを見ることが出来ます。

HOME’S不動産投資

 

地方の物件は利回りが高い?

地方の利回りは高い?地方の物件の方が利回りが高い傾向にあると言われますが、これは何故なのでしょうか?

地方の物件は家賃は都市部よりも「物件価格が安い場合が多い」というところがポイントなのです。

地方の物件は、都市部よりも家賃が安い場合が多いので、年間収入としては低くなりますが、それ以上に物件価格(購入価格)が安くなるので表面利回りが高くなります。

先程の表の式のように「満室を想定した年間収入」を「購入価格」で割った数字が「表面利回り」ですから、分母が大きく下がる地方の物件(都市部よりも安い物件)は表面利回りが高く出る傾向にあるです。

しかし、そもそも「満室」を前提に出している利回りですから、空室が出て年間収入が下がれば、利回りは大きく下がります。その上、地方は都市部よりも借主を探すのが大変なケースが多いので、空室をうめる為に家賃を下げて貸すことになれば、これまた利回りは下がります。

このように、単に「表面利回りが高い」というだけで、投資すべき物件を決めるのは非常に危険だということも覚えておいて下さい。

 

「表面利回り」と「実質利回り」って何が違うの?

実は「表面利回り」というのは、税金や維持管理費のような不動産のランニングコストや不動産購入時の不動産取得税や登録免許税などの税金が計算に含まれていない利回りなのです。実際には不動産購入後の費用として、固定資産税・都市計画税や所得税、管理費、修繕費などの費用がかかります。この実際にかかると予想される費用を年間家賃収入から差し引いて計算したものが「実質利回り」となります。

● 表面利回り=年間収入額÷物件価格×100
● 実質利回り=(年間収入額-年間諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

但し、実質利回りに関しては、いろいろな書籍やネットの情報を見ると、計算式の年間諸経費に含む項目が違っていたり、物件価格に購入時の税金は含んでいなかったり、細かい計算方法は各自違います。

私としては、所得税や社会保険まで考慮して出来る限り詳しく計算するべきだと思うのですが、そこまでいくと本業と副業を含めた個人の年間総所得や住んでいる地域などの条件によって変わり、あまりに複雑になるので、計算していないのだと思います。

ですから、実質利回りといっても、実際の利回りと一致するというわけではないのです。表面利回りよりも実際の利回りに近いということなのです。

流れとしては、「表面利回り」をまず見て、おおまかな判断をして、さらにもう少し詳しく見るために、「実質利回り」を見るというイメージで良いと思います。

 

年間諸経費って、一体何?

実質利回りを計算する際に、表面利回りよりも実際運営した場合の利回りに近づけるために、年間家賃収入から不動産を維持運営する為に必要な費用を差し引きます。その年間必要な費用には以下のようなものがあります。

 

固定資産税・都市計画税

固定資産税と都市計画税は土地、建物に課せられる税金です。地方自治体が評価した不動産の価格に対して、固定資産税が1.4%、都市計画税が上限0.3%課せられます。

固定資産税と都市計画税に関しては『固定資産税・都市計画税』で詳しくご説明していますのでご参照下さい。

 

管理費(マンション)

マンションの管理費とは、マンションの住民みんなで使用する部分を管理してもらうために支払う費用です。

例えば、エレベーターの定期的な点検であったり、共用部分の日々の清掃やクレームや事故があった場合にお願いする管理員の人件費などの費用です。

 

修繕積立金(マンション)

修繕積立金とは、外壁や屋根などの大規模修繕といった、「建物を長期的に維持するためにかかる費用」を積み立てるための費用です。

修繕積立金には通常、長期修繕計画という積立の計画が組まれていますが、この長期修繕計画には、当初の積立金の額を抑え一定期間ごとに値上げしていく「段階増額積立方式」と、一定の金額を積み立てていく「均等積立方式」があります。

家賃収入額は変わらずに修繕積立金という毎月かかる費用が上がっていくと言うことは、つまり、利回りが下がっていくということになりますから、段階増額積立方式の場合は特に注意が必要です。

 

管理代行費

購入した不動産の管理を任せる場合にかかる費用です。

例えば、借主への毎月の家賃の請求・受取や家賃が滞納された場合の保証、新規・更新・退去契約など、購入した不動産の管理を丸投げして全て管理してもらうようなイメージです。

私が聞いた中では、だいたい家賃の5%くらいで設定されているところが多いように思います。

 

年間諸経費の注意点

修繕積立金がもっとも顕著な例ですが、税金も含め、年間諸経費は変動します。つまり、実質利回りは収入家賃が一定でも変動するのです。

初年度の実質利回りを見て、「これだけ実質利回りがあれば良い物件だ」と即決せずに、長期的な実質利回りも予想して検討する必要があります。

 

「実質利回り」の注意点

こちらの『表面利回りって、どうやって計算するの』でも書きましたが、実質利回りも満室を想定して計算がされている点を注意しなければいけません。つまり、計算式は正確に書くと以下のようになります。

実質利回り=(満室を想定した年間収入額-年間諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

つまり、空室が出た場合は、実際の利回りは表面利回りより大きく下がる可能性があります。

空室になった場合に次の借主がすぐ見つからない場合は、実際の利回りと実質利回りは全く異なる数字になります。

ですから、「実質利回りは表面利回りと違って、実際の収入は実質利回りの数字通りになるんだな」というような考えをされないように十分気を付けて下さい。

空室が出た場合に実際の利回りが大きく下がるのは、「表面利回り」も「実質利回り」も同じなのです。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

「表面利回りは、物件を検討する最初の段階の指標」といことがご理解いただけたかと思います。

税金や管理費などを考慮した「実質利回り」を計算する前に、まずは「表面利回り」を、最初のおおまかな判断材料の一つにされるのが良いかと思います。

「実質利回り」は確かに「表面利回り」と比べると実際にかかる費用などを想定している分、実際の利回りに近いと言えますが、「決して実質利回りは実際の利回りと同じではない」という点には十分ご注意下さい。

「実質利回り」も「表面利回り」同様に、物件をおおまかに判断する材料の一つという程度で考えておかれるのが良いかと思います。

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。