民泊新法(住宅宿泊事業法)とは|「民泊新法(住宅宿泊事業法)」を全解説します!

[記事公開日]2016/05/14
[最終更新日]2017/05/10
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民泊新法とは

宿泊施設を提供する「旅館業」に関しては、昭和23年に施行された「旅館業法」によって規定されています。

昭和23年の施行から平成28年現在までの68年の間に、いくつかの改正を経て時代の要求に対応してきました。

しかし、ここにきて外国人観光客の増加などによる宿泊施設の不足、人口減による空き家問題、更にはインターネットという当時はなかったインフラを使った新しいビジネスモデルの出現で、旅館業法の改正だけでの対応が困難になってきました。

そこで、新たに「民泊」という営業形態の宿泊提供に関する法律「住宅宿泊事業法」が2018年1月までに施行されることが閣議決定されました。

現時点では、法整備の段階ですが、こちらのページで、住宅宿泊事業法(民泊新法)がどのような法律になるのかを随時ご説明していきたいと思います。

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)とは

住宅宿泊事業法(民泊新法)とは、従来の旅館業法で定める4つの営業形態(ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業)や国家戦略特別区域の特区民泊にはあてはまらない、新しい営業形態である「民泊事業(ここでは仮にこのように呼びます)」に関して規定する法律です。

2016年6月2日に民泊新法の原案を含む「規制改革実施計画」が閣議決定されました。

「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の対象となる民泊サービスは、「旅館業法」の対象外となる条件として、「一定の要件」を満たしている必要があります。

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)の対象とする民泊

住宅宿泊事業法(民泊新法)の対象となる「民泊事業」は、「既存の住宅を活用した宿泊の提供」と定義されています。

民泊事業の宿泊の提供方法は、「既存の住宅を1日単位で利用者に貸し出すもので、「一定の要件」の範囲内で、有償かつ反復継続するもの」と定義されています。

後述します「一定の要件」を満たさずに営業される施設は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の対象外となり、従来の「旅館業法」に基づく営業許可が必要になります。

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)の基本的な考え方

住宅宿泊事業法(民泊新法)の対象となる民泊施設はホテルや旅館などの宿泊施設ではなく、あくまで「住宅」という位置付けです。

その「住宅」に家主が住んでいるか住んでいないかで「家主居住型」と「家主不在型」の2つのタイプに区別します。

2つのタイプ別に、住宅提供者、管理者、仲介事業者に対する適切な規制を課して、適正な管理や安全面・衛生面を確保するような仕組を構築するとしています。

さらに、行政が、住宅を提供して実施する民泊を把握できるような仕組みが検討されています。

 

「家主居住型(ホームステイ)」の民泊とは

家主居住タイプ「家主居住型(ホームステイ)」とは、住宅提供者が、住宅内に居住しながら、当該住宅の一部を利用者に貸し出すものと定義されています。

家主居住型民泊の要件は以下のように定められています。

  • 個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅であること。
  • 提供日に住宅提供者も泊まっていること。
  • 年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。

住民票がある家であっても、宿泊者が泊まる日に家主も泊まっている必要があります。

休暇で旅行に行く間貸し出すというような場合は、家主居住型としては貸出が出来ません。(後述します「家主不在型」となります。)

家主居住型(ホームステイ型)の場合は、住宅内に居住する住宅提供者による管理が可能なため、民泊施設管理者への管理委託は義務付けられない方向で検討されています。

さらに、住宅を提供して民泊を実施する場合、許可ではなく、行政庁への届出でとなります

※許可制と届出制の違いは「『許可制」と『届出制』って何が違うの」で詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。

住宅提供者には、住宅宿泊管理業者と同じように以下のような管理を求められています。

  • 利用者名簿の作成・備付け(外国人利用者の場合は、旅券の写しの保存等を含む。)
  • 最低限の衛生管理措置
  • 利用者に対する注意事項の説明
  • 住宅の見やすい場所への標識掲示
  • 当該住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認等
  • 安全面・衛生面の確保
  • 匿名性の排除 など

また、法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立入検査も検討されています。

以下にご説明します 「一定の要件」に違反した民泊や、家主居住型と偽って家主不在型の民泊を提供しているような不適切な民泊施設には、業務の停止命令等の処分、法令違反に対する罰則等を設けることも検討されています。

 

「家主不在型」の民泊とは

家主不在型民泊とは以下のように定められています。

  • 個人の生活の本拠でない、又は個人の生活の本拠であっても提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅であること。(法人所有のものも含む。)
  •  年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。
  • 提供する住宅において「民泊施設管理者」が存在すること。(登録された管理者に管理委託、又は住宅提供者本人が管理者として登録。)

家主不在タイプ「家主不在型」の民泊は、「家主居住型」に比べて、騒音やゴミ出し等による近隣住民とのトラブルや、売春・犯罪といった犯罪に利用される危険性が高くなると予想されます。

また、家主がいないので、近隣住民が騒音などの苦情をどこに申し入れればよいか不明確な点が問題になります。

そこで、「家主不在型」の民泊については、住宅提供者が管理者に管理を委託することを必要とし、適正な 管理や安全面・衛生面を確保するとしています。

つまり、家主にかわって、管理者が苦情対応や運営管理の責任を負うと言う事になります。

 

住宅宿泊管理業者の登録制導入

民泊の管理者住宅宿泊事業法(民泊新法)では「住宅宿泊管理者は国土交通大臣への登録を行うこととする」とされています。

家主不在型の事業者は、住宅宿泊事業者に対して、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託することが義務付けられています。

住宅宿泊管理業者は、以下の管理を義務付けられます。

  • 利用者名簿の作成・備付け(外国人利用者の場合は旅券の写しの保存等を含む。)
  • 最低限の衛生管理措置
  • 利用者に対する注意事項の説明
  • 住宅の見やすい場所への標識掲示
  • 苦情の受付
  • 当該住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認 等

その他、法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立入検査が検討されています。

管理者が上記の業務を怠った場合、業務停止命令、登録取消等の処分、法令違反に対する罰則等を設けることも検討されています。

住宅提供者自らが住宅宿泊管理業者としての登録を受ければ、自宅で、家主不在型の民泊を提供することも可能になる予定です。

詳しくは『民泊の住宅宿泊管理業者とは』をご参照下さい。

 

賠償保険の強制加入

損害賠償保険に関しての詳細はわかりませんが、新聞報道によると「業者に賠償保険への加入を求め、宿泊業者がマンションの共有設備などを壊した場合は確実に償うようにする」とされています。

民泊という新しいビジネスに対して、今後新しいタイプの保険もたくさん出てくるのではないかと思います。

民泊の保険に関しては『民泊で必要な保険』でご説明しておりますので、ご参照下さい。

 

用途地域による建築物の用途制限

2016年5月19日の規制改革会議で、新法の要件を満たした場合、住居専用地域でも民泊の営業を認めるという内容の答申がありました。

現行では、民泊特区以外では、旅館業法の簡易宿所営業の許可がなければ民泊営業は出来ませんが、新法では住居専用地域でも原則として民泊の営業が出来ることになります。

この住居専用地域でも営業が出来るということは、特にマンションの民泊営業に大きな影響があります。(なぜ大きな影響があるのかは、「民泊新法の注意点」で後述します)

マンションで民泊営業を考えている方にとっても、民泊営業を禁止しようとされているマンションの管理組合の方にとっても非常に重要なポイントになります。

 

一定の要件とは

検討会では、「新たな規制の枠組みの対象となる民泊サービスの範囲については、既存の旅館、ホテルと異なる取扱いとすることについて、合理性のある『一定の要件』を設定する」としています。

「一定の要件」を超えた営業行為は、民泊新法(住宅宿泊事業法)の対象外となり、従来の旅館業法の許可対象となります。

それでは、一定の要件にはどういったものがあるのかを見てみましょう。

 

年間提供日数の上限

営業日数の上限年間提供日数の上限は180日(泊)です。

但し、「地域の実情を反映する仕組み(条例による住宅宿泊事業の実施の制限)を導入」とされています。

これは、各自治体の実情に応じて、条例で180日以下の日数で上限を設定できるということです。

例えば、軽井沢町の公式ホームページでは「民泊施設は認めません(2017年4月1日更新)」という内容で公表されています。

 

宿泊人数

宿泊人数制限宿泊人数に関しても意見が分かれています。

海外の例でみますと、オランダのアムステルダムでは、同時宿泊者4人以内、ドイツのベルリンでは同時宿泊者8人以内という制限を設けています。

同じように、宿泊人数が増えれば公衆衛生上のリスクは高まるので、日本の民泊新法でも1日当たりの宿泊人数を4人以内のように制限を設けるべきという意見があります。

制限する人数に関しては宿泊者のニーズを考慮して、4人よりも増やすべきという意見もあります。

現在の検討内容からみて、同時宿泊の人数制限は設定されるものと思われますが、何人になるのかがポイントになると思います。

 

「住宅宿泊仲介業」とは

住宅宿泊事業法(民泊新法)では、旅館業法にはなかった「住宅宿泊仲介業」が新設されました。

「住宅宿泊仲介業」とは、「宿泊者と住宅宿泊事業者との間の宿泊契約の締結の仲介をする事業」を指します。

一 宿泊者のため、届出住宅における宿泊のサービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為。

二 住宅宿泊事業者のため、宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為。

インターネットサイトなどの民泊仲介事業者が住宅宿泊仲介業者になります。

住宅宿泊仲介業者になるには、観光庁長官への登録が必要になります。

仲介事業者には消費者の取引の安全を図るため、以下のような義務や罰則が検討されています。

  • 取引条件の説明義務
  • 民泊新法に基づく民泊であることをサイト上に表示する義務
  • 行政庁による報告徴収・立入検査
  • 不適正な民泊(無届出の家主居住型民泊、登録管理者不在の家主不在型民泊、「一定の要件」に違反した民泊等)のサイトからの削除命令
  • 不適正な民泊であることを知りながらサイト掲載している場合の業務停止命令、登録取消等の処分
  • 法令違反に対する罰則
  • 法令違反行為を行った者の名称や違反行為の内容等を公表できるようにする など

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)の注意点

住宅宿泊事業法(民泊新法)は「条例」「営業日数の上限」「住居専用地域での営業が可能」という3点が大きなポイントになります。

なぜその3点がポイントになるのかを見てみましょう。

 

「条例」の注意点

民泊新法(住宅宿泊事業法)では、営業日数を条例で制限することが出来るとされています。

大幅に営業日数を制限された地域では、事実上新法民泊は営業が出来ない可能性があります。

民泊を始めようとする地域の条例で、営業日数の上限を設定されていないかを必ず確認する必要があります。

 

「営業日数の上限」の注意点

注意営業日数に上限が設定されるということは、限られた営業日数で収益を上げなければいけないということになります。

ですから、借りた物件を使って民泊を始めるような場合は採算が合わなくなる可能性があります。

特に90日となった場合は民泊ビジネスを投資として見ることは難しいとなるケースも多いと思います。

その場合は、「旅館業法の簡易宿所営業の許可」を取得して、旅館業として民泊ビジネスを行うことになります。

  • 90日~180日の営業で構わない人→新法の民泊営業
  • 90日~180日の営業では採算が合わない人→旅館業法の簡易宿所営業

 

「住居専用地域での営業が可能」になる注意点

ワンルームマンション民泊現在、マンションで民泊が出来ない大きな理由の一つは、この用途地域内の用途制限です。

住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行された場合、マンションでの民泊営業が急増する可能性もあります。

但し、マンションの場合は法律とは別に「マンション管理規約」という、それぞれのマンションのルールがありますので、管理規約の内容によっては民泊をすることは出来ないというケースもあります。(詳しくは『えっ!民泊が禁止!?マンションの「管理規約」って何?』をご参照下さい。)

マンションでの民泊禁止を検討されている管理組合の方々は、早急に準備を進める必要があると思います。

  • 管理規約で民泊が禁止されていないマンション→新法施行で民泊営業が出来る可能性あり
  • 管理規約で民泊が禁止されているマンション→新法施行でも民泊営業は出来ない可能性が高い

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

いよいよ「民泊」に関する新しいルールの形が見えてきた感じがします。

今までは禁止されていた住居専用地域で民泊営業が出来るようになるなど、全く新しいビジネスとして「民泊ビジネス」が生まれようとしています。

今回の「住宅宿泊管理業」というビジネスも、民泊ビジネスに伴った新しいビジネスです。

こういった新しいビジネスチャンスを活かして、いろいろな業界が活性化されることも期待できると思います。

ただ、反面、近隣住民の方々へ迷惑がかからないような仕組作りも必要になってきます。

「事業者」「宿泊者」「近隣住民」の三方よしとならなければ、いつか歪が大きくなり、大きな問題が発生してしまうと思います。

合法かつ三方よしとなるような「民泊ビジネス」を応援したいと思います。

(※今回ご説明しました「住宅宿泊事業法(民泊新法)」と従来の「旅館業法」「民泊条例」の違いを『一目瞭然!「旅館業法」「住宅宿泊事業法(民泊新法)」「民泊条例」の比較一覧』のページで、わかりやすくご説明していますので、あわせてご参照下さい。

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。