「家主居住型」の民泊とは|住宅宿泊事業の基礎知識

[記事公開日]2017/12/31
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家主居住型民泊とは

2018年6月から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)の民泊を始めようと検討されている人も多いと思います。

(住宅宿泊事業法に関しては『住宅宿泊事業法(民泊新法)を全解説します!』をご参照下さい。)

新しく民泊を始められる人の中でも「自分の家を貸すんだから、自分で管理しよう」と思われている人も多いのではないでしょうか。

住宅宿泊事業を始めるにあたって、あなたの届出住宅(住宅宿泊事業として使用する家屋を「届出住宅」と呼びます)が「家主居住型」か「家主不在型」によって、管理の方法が大きくかわってきます。

ここでは「家主居住型」とはどういったものなのかをわかりやすくご説明したいと思います。

 

「家主居住型」の定義

家主居住型とは「家主居住型」を説明する前に「住宅宿泊事業者」とは何なのかを理解する必要があります。

「住宅宿泊事業者」というのは、民泊の事業者のことです。

つまり、あなたが自分の住んでいる家の一部を民泊をして貸し出そうと届出をする場合、あなたが「住宅宿泊事業者」となります。

住宅宿泊事業には「家主居住型」と「家主不在型」という2つのタイプがあります。

「家主居住型」に該当しない届出住宅は全て「家主不在型」になります。

「家主居住型」とは、「届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が居住」していて、「住宅宿泊事業者が一時的な不在を除く不在とならない」場合と定義されています。

この定義はちょっと分かりにくいですね。

しかし、この定義は住宅宿泊事業を始めるにあたって非常に重要ですので、詳しくご説明したいと思います。

 

「届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が居住」

居住とは「居住」というのは、短期的にその家を使用しているのではなく、住民票上の住所としているような場合です。

ただし、別荘などの場合は居住ではなく滞在しているということで大丈夫です。

「家主居住型」の場合、届出住宅(民泊施設)にお客さんが泊まっている間は、住宅宿泊事業者であるあなたがその住宅に住んで(又は滞在して)いなければいけないということになります。

例えば、あなたが届出住宅の隣に住んでいるような場合は、家主居住型の「住宅宿泊事業者が居住」の要件を満たさないので注意して下さい。

また、「住宅宿泊事業者が居住」ですので、住宅宿泊事業者以外の人が居住していても、家主居住型の「住宅宿泊事業者が居住」の要件は満たしません。

 

「住宅宿泊事業者が一時的な不在を除く不在とならない」

住宅宿泊事業法では、「家主不在型」を以下のように定義しています。

住宅宿泊事業法の第十一条第一項第二号

届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものを除く。)となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労働省令で定めるときを除く。)。

簡単に言いますと、「不在となるとき」がある場合は「家主不在型」になるということです。

ただし、国土交通省令・厚生労働省令で「一時的な不在」と定められているケースは不在になりません。

それでは、どのようなケースが国土交通省令・厚生労働省令で「一時的な不在」と定められているのかを見てみましょう。

国土交通省令・厚生労働省令住宅宿泊事業法施行規則 第九条第三項

法第十一条第一項第二号の国土交通省令・厚生労働省令で定めるものは、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在とする。

「日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在」は「一時的な不在」として認められるということです。

それでは「日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在」とは具体的にはどのような不在を言うのでしょうか。

それは「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」に定義されています。

住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)

③ 一時的な不在に関する考え方について

国・厚規則第9条第3項に規定する「日常生活を営む上で通常行われる行為」とは、生活必需品の購入等を想定したものであり、業務等により継続的に長時間不在とするものは該当しない。

国・厚規則第9条第3項に規定する「日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間」とは、届出住宅が所在する地域の事情等を勘案する必要があるため、一概に定めることは適当ではないが、原則1時間とする。

ただし、生活必需品を購入するための最寄り店舗の位置や交通手段の状況等により当該行為が長時間にわたることが想定される場合には、2時間程度までの範囲とする。

原則1時間、特別な事情がある場合でも2時間程度の範囲までの不在が「日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在」となります。

つまり、家主居住型の条件となる「住宅宿泊事業者が一時的な不在を除く不在とならない」ということは、「原則1時間(事情がある場合2時間程度まで)の不在とならない」ということになります。

 

「家主居住型」となる届出住宅

「家主居住型」となる届出住宅「家主居住型」とは「住宅宿泊事業者が一時的な不在を除く不在とならない」届出住宅です。

先程ご説明しましたように「一時的な不在」とは「原則1時間、特別な事情がある場合でも2時間程度の範囲までの不在」です。

つまり、「家主不在型」とする場合「届出住宅に居住して、原則1時間(特別な事情がある場合でも2時間程度の範囲まで)の不在をしない」必要があります。

原則1時間(特別な事情がある場合でも2時間程度の範囲まで)の不在にする場合がある届出住宅は「家主不在型」となります。

 

「家主居住型」と「家主不在型」の管理の違い

「家主居住型」と「家主不在型」に関しては大きく2つの違いがあります。

それでは、その2つの違いをご説明したいと思います。

 

管理業務の委託

住宅宿泊事業法では、家主不在型(原則1時間(特別な事情がある場合でも2時間程度の範囲まで)の不在にする場合がある届出住宅)の場合、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなけれないけないと規定しています。

住宅宿泊事業法第十一条

住宅宿泊事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。

二 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものを除く。)となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労働省令で定めるときを除く。)。

つまり、家主不在型の場合は、住宅宿泊事業者自身で管理業務をおこなうことができず、住宅宿泊事業者に管理業務を委託しなければいけません

ただし、自分自身が住宅宿泊管理業者登録をして管理業務をおこなうことは可能です。(住宅宿泊管理業に関しては『住宅宿泊管理業者とは』をご参照下さい)

 

安全措置

民泊を始めるには、原則として安全措置として「非常用照明」と「消防設備」の設置が必要になります。

ただし、家主居住型でかつ宿泊室の床面積が50㎡以下の場合は以下のように特定の部分の安全措置が不要になります。

「宿泊室の床面積」とは、宿泊者が就寝するために使用する室(寝室)の床面積です。

「居室の床面積」ではないので注意して下さい。

「宿泊室の床面積」には、宿泊室内の押入れや床の間の面積は含まれません。

必要な消防設備に関しましては『民泊に必要な消防設備』で詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。

 

住宅宿泊事業 安全措置について

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

家主居住型で始めようと思っていたのに、思っていた以上に家主居住の条件が厳しいと感じた人もいらっしゃるのではないでしょうか。

最大で2時間以上不在にする可能性があるけれども、管理業務は自分でやりたいという場合は、ご自身で住宅宿泊管理業者の登録をすることもできます。

だだ、個人で住宅宿泊管理業者の登録をするためには宅地建物取引士の資格などの条件があり、登録要件を満たすことができないというケースもあると思います。(詳しくは『住宅宿泊管理業者とは』をご参照下さい。)

その場合は、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなければいけません。

住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する場合、当然委託費も発生してしまいます。

住宅宿泊事業を始める前に、ご自身の届出住宅が「家主居住型」なのか「家主不在型」なのかを理解された上で届出の準備を進められることをお勧めします。

 

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。