民泊とは|民泊の定義から法律まで全解説します!

[記事公開日]2016/01/25
[最終更新日]2017/08/22
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民泊とは

「民泊」とは一般の民家に泊まることを指します。

始まりはほとんどの場合無報酬で行われていました。

現代のように交通機関や宿泊施設が整備されていなかったとき、無償で見知らぬ人にご飯を上げたり、宿を提供することはそれほど珍しいことではありませんでした。

それは提供する側の善意に基づいていたからです。

しかし時代は大きく変わり、旅の途中の人を家に泊めてあげるような機会は少なくなり、都会に住む人が農家や漁村での体験をするための「農家民宿」のような田舎体験型の宿泊を「民泊」と呼ぶようになってきました。

そして、2008年頃からAirbnbのようなインターネットの仲介サイトを通じて、外国人観光客へ個人宅や投資用マンションを貸し出す新しいビジネスモデルが出現しました。

現在では、この「個人宅や投資用に所有している部屋をネットを通じて貸し出すビジネス」を「民泊」と呼ぶようになっています。

ここでは、新しいビジネスモデルとしての「民泊」に関して詳しくご説明します。

 

「民泊とは」

民泊とは民泊とは「民家に泊まること」を指しますが、インターネットの仲介サイトの出現により、観光客に個人宅や投資物件を有料で貸し出すビジネスを「民泊」と一般的に呼ばれるようになっています。

そこで現在の民泊の定義は「民泊とは、宿泊用に提供された個人宅の一部や空き別荘、マンションの空室などに宿泊すること」となります。

ただ、この「個人宅を貸す」というビジネスモデルに対して、従来の旅館業法で規制すると、ほとんどが要件を満たせず、結果として無許可の違法民泊が増加するような問題が発生しました。

そこで、従来の旅館業法の改正と並行して、新しいビジネスモデルとしての「民泊」に対しての法律を制定する流れになりました。(詳しくは『民泊新法とは』をご参照下さい。)

旅子さん
旅館業とか特区民泊とかニュースで聞いても違いが良く判らないのですが・・・。
民子先生
現在は「民泊」というビジネスが確立される過渡期にあるため、「旅館業法で定める簡易宿所という民泊」「民泊新法で定める住居として貸し出す民泊」「民泊条例で定める国家戦略特区の民泊」の3種類の民泊があるんです。
できるだけわかり易くご説明したいと思いますので、しっかり違いを理解しましょうね。
それでは、それぞれどのような「民泊」があるのかをみてみましょう。

(3種類の民泊の違いは『一目瞭然!「旅館業法」「民泊新法」「民泊条例」の比較一覧』でも詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

 

「新法民泊(住宅宿泊事業法)」とは

旅子さん
2017年から民泊が解禁されるって聞いたのですが、本当ですか?
民子先生
2017年3月に「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の法案が閣議決定されました。たしかに今までの旅館業や特区民泊などに比べると遥かに条件は緩和される予定ですが、年間の営業日数の制限などの新しいルールもあるので、誰でも好きなだけ民泊が出来るという意味ではありません。
それでは、「新法民泊(住宅宿泊事業法)」からご説明しましょう。

(国土交通省観光庁『「住宅宿泊事業法案」を閣議決定』

2018年に施行予定の住宅宿泊事業法(民泊新法)で定義される民泊は、旅館業法の対象外の宿泊施設とされています。

この新法が出来る事で、「新法の民泊」「旅館業法の民泊」「民泊条例の特区民泊」といった3種類法令に関する民泊ができることになります。

 

新法民泊(住宅宿泊事業法)の2つの特徴

新法民泊(住宅宿泊事業法)には、主に2つの大きな特徴があります。

どんな特徴なのかを見てみましょう。

 

建物の用途

旅館業法が適用される民泊(簡易宿所)や特区民泊の建物は「ホテル又は旅館等」ですが、新法民泊の建物は「住宅」です。

つまり、新法の民泊は、ホテルや旅館が営業することのできない住居専用地域で営業することも可能なのです。

 

年間営業日数の上限

営業日数上限そして、もう一つの大きな特徴は「年間営業日数の上限」が設定されていることです。

180日を超した営業は出来ませんので、民泊以外の活用方法がなければ、ビジネスや投資としては難しい可能性があります。

新法民泊のビジネス案に関しましては『新法民泊ビジネス「チャンス」と「アイデア」』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

新法民泊は住宅を宿泊施設として貸し出すことを前提にしていますが、どんな住宅でも貸し出せるわけではありません。

例えば、マンション管理規約で民泊が禁止されているようなマンションの部屋を民泊として貸し出すことは禁止されています。

マンションの管理規約に関しては『マンションの管理規約とは』をご参照下さい。

 

「家主居住型」の民泊とは

民泊新法(住宅宿泊事業法)の民泊施設は、家主が宿泊者と一緒に宿泊施設に泊まるタイプの「家主居住型民泊」と家主は宿泊施設に泊まらず、民泊施設管理者が施設を管理する「家主不在型民泊」に分けられます。

家主居住タイプ「家主居住型(ホームステイ)」とは、住宅提供者が、住宅内に居住しながら、当該住宅の一部を利用者に貸し出すものと定義されています。

家主居住型民泊の要件は以下のように定められています。

  • 個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅であること。
  • 提供日に住宅提供者も泊まっていること。
  • 年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。

住民票がある家であっても、宿泊者が泊まる日に家主も泊まっている必要があります。

休暇で旅行に行く間貸し出すというような場合は、家主居住型としては貸出が出来ません。(後述します「家主不在型」となります。)

 

「家主不在型」の民泊とは

家主不在タイプ家主不在型民泊とは以下のように定められています。

  • 個人の生活の本拠でない、又は個人の生活の本拠であっても提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅であること。(法人所有のものも含む。)
  •  年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。
  • 提供する住宅において「民泊施設管理者」が存在すること。(登録された管理者に管理委託、又は住宅提供者本人が管理者として登録。)

 

民子先生
民泊新法で定義される民泊に関しましては『民泊新法(住宅宿泊事業法)とは』でも詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。

 

「特区民泊」とは

旅子さん
東京の大田区とか大阪だけでできる民泊があるって聞いたのですが・・・
民子先生
それは、いわゆる「特区民泊」と呼ばれているタイプの民泊です。
国から国家戦略特区と指定された自治体で、さらに民泊条例という条例を制定している自治体の中で営業が出来るタイプの民泊です。

特区民泊とは、国家戦略特区として指定されて、民泊条例を制定した地域で行う事ができる民泊です。

2017年8月22日時点で特区民泊の営業が出来るのは、東京都大田区と大阪府の一部、大阪市、北九州市、新潟市です。

新潟市は市街化調整区域、北九州市では市街化調整区域、第1種・第2種低層住居専用地域のように旅館業が出来ない地域で特区民泊を認めているところもあります。

また千葉市でも「幕張新都心内の住宅地区において、外国人等の観光やビジネス客を対象に、マンションの一部を宿泊施設として利用する」ということで、民泊条例の制定が検討されています。

特区民泊を行うためには行政の認定が必要です。

特区民泊は各自治体が制定する民泊条例で細かい要件が定められています。

2017年8月22日時点で東京都大田区の特区民泊は6泊7日以上宿泊する人しか利用できませんが、大阪市の特区民泊は2泊3日から利用できます。(大田区は2泊3日への短縮を検討すると発表されています。)

特区民泊を始める場合は、宿泊施設がある場所の自治体が制定した民泊条例の内容を必ず確認しましょう。

民子先生
特区民泊に関しましては『特区民泊とは』で詳しくご説明しています。
前述しました「新法民泊(民泊新法)」と後述します「簡易宿所(旅館業法)」と「特区民泊(民泊条例)」のそれぞれのメリットとデメリットは『一目瞭然!「旅館業法」「民泊新法」「民泊条例」の比較一覧』で詳しくご説明しておりますので、併せてご参照下さい。

 

「旅館業法民泊(簡易宿所)」とは

民泊の定義は旅館業法に示されていません。

このため、さまざまな解釈で広い意味で「民泊」という言葉が使われるようになりました。

そこで厚生労働省によって、第49回規制改革会議ヒアリング提出資料の中で、『「民泊サービス」とは、「一般には、自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して宿泊サービスを提供するもの。」』と定義されました。

インターネットでの民泊仲介サイトの出現で、個人宅を貸し出す人が急激に増えたのですが、それまでの旅館業法には「個人宅を貸し出す旅館業」に該当する形態がありませんでした。

そこで、旅館業の4類型の一つである「簡易宿所」の定義の中に入れて、旅館業の許可申請を取るように促したのです。

それでは、民泊を始める際にはホテルや旅館のような許可を取る必要があるのでしょうか。

この民泊の定義に当てはまるからといって、ホテルや旅館を始める時に必要な旅館業の許可を必ず取らなければいけないということではありません。

以下の「旅館業に該当する民泊サービス」を提供する場合に、旅館業の許可が必要になります。(新法制定後、年間180日を超して民泊営業をする場合も旅館業の許可が必要になります。)

それでは、どういった場合に民泊(旅館業)の許可が必要になるのかを、ご説明したいと思います。

 

「旅館業とは」

「旅館業に該当する民泊サービス」とはどういったものなのかを理解するためには、「旅館業」とはどういったものかを理解する必要があります。

旅館業とは旅館業法の中で「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。

ただ、この定義だけ聞いても、わかり難いですよね。

それでは、この定義にの中にある語句の意味を一つ一つ見てみましょう。

(※旅館業法とその関係法令などに関しては『旅館業法とは』で詳しくご説明しておりますので、併せてご参照下さい。)

 

旅館業の種類

旅館業法には4つの形態の旅館業が定義されています。

「民泊」という形態はないので、4つの形態の中でも一番近い「簡易宿所」で営業許可を取られるケースが多いのですが、要件を満たせばホテルや旅館などの営業許可を取得することも可能です。

旅館業法で定義されている4つの形態をご説明したいと思います。

 

ホテル営業

洋式客室を主体とする宿泊施設です。

旅館業法にはホテル営業は「この法律で「ホテル営業」とは、洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。」とだけ規定されていますが、ホテルの場合に注意しなければいけない点があります。

ホテル営業は条例で「レストランや食堂で食事を提供できる宿泊施設」と規定されているケースが多くあるのです。

大阪市旅館業法の施行等に関する条例でも以下のように規定されています。

第3条(ホテル営業の施設の構造設備の基準)

(6) 宿泊者の需要を満たすことができる広さの食堂を有すること

大阪市旅館業法の施行等に関する条例

この「レストランや食堂で食事が提供出来る」と各自治体の条例で規定されているケースが多いという点がホテルの大きな特徴です。

 

旅館営業

和式客室を主体とする宿泊施設です。

旅館の場合は、ホテルのように条例で「レストランや食堂で食事を提供できる宿泊施設」と規定される場合はほとんどありません。

但し、「ロビー又は食堂を有する場合には、利用者の用に供するための共同用の便所を有すること」といった規定を定めている場合はあります。

 

簡易宿所営業

客室を多数人で共用する宿泊施設です。

今まではユースホステルやカプセルホテルといった形態で営業する場合は簡易宿所営業の許可を取ります。

戸建てで民泊を始めたいという場合、ほとんどがこの「簡易宿所営業」になります。

 

下宿営業

一ヶ月以上の期間を単位とする宿泊施設です。

1泊や2泊のような短期の滞在を前提としている民泊のような事業形態では下宿営業の許可は取れません。

(法第2条第5項)

 

「宿泊料」とは

旅館業法の旅館宿泊料とは「寝具や部屋の使用料」です。

旅館業の許可が必要となるかは「宿泊料を徴収しているか」がポイントになります。

宿泊料以外の名目でも、実質的に宿泊料に相当するものを徴収する場合は旅館業の許可が必要です。

例えば「体験料」など別の名目で料金を徴収した場合でも、「実質的に寝具や部屋の使用料とみなされる場合」は「宿泊料」を徴収しているとみなされますので旅館業の許可が必要になります。

それ以外に休憩料、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費などの名目でも「実質的に寝具や部屋の使用料とみなされる場合」は、同様に旅館業の許可が必要です。

つまり、どのような呼び名であったとしても「実質的に寝具や部屋の使用料とみなされる費用」は旅館業法で規定されている「宿泊料」とみなされます。

こういった「実質的に寝具や部屋の使用料とみなされる費用」を徴収して人を宿泊させる営業を行う場合には、旅館業法上の許可が必要になります。

 

「宿泊」とは

「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」です。

寝具は宿泊者が持ち込む場合でも「寝具を使用して施設を利用することに該当します。

 

「営業」とは

「営業」とは、「社会性をもって継続反復されているもの」です。

営業の定義の中にある「社会性をもって」とは、社会通念上、個人生活上の行為として行われる範囲を超える行為として行われるものと定義されています。

つまり、どうかんがえても個人の生活の中での行為ではなく、ビジネスとしておこなっていると判断されるものは「社会性をもった行為」となります。

 

旅館業の許可が不要な場合

民泊といっても「宿泊料」を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けません。

一般的には、知人・友人を宿泊させる場合は、生活の中の行為に該当し、「社会性をもって」には当たらず、旅館業法上の許可は不要と考えられます。

先程ご説明しました、新法民泊も旅館業の許可は必要ありません。

後述します、国家戦略特区の特区民泊も旅館業法の対象外となります。

旅館業の許可が必要な場合

個人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合は、旅館業法上の許可が必要になります。

インターネットサイト等を利用して、不特定多数の方を対象とした宿泊者の募集を行って、繰り返し人を宿泊させることは「社会性をもって継続反復されているもの」に当たります。

その場合、宿泊料と見なされるものを受け取る場合は、旅館業の許可を受ける必要があります。

(旅館業法に基づく民泊許可の申請方法は『民泊の許可申請方法を全解説します!』で詳しくご説明していますので、是非併せてご参照下さい。)

 

旅館業とアパート等の貸室業の違い

旅館業と貸室業の違いは以下の2点があります。

施設の衛生上の管理責任者

旅館業である規定の一つとして「施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること」という規定があります。

賃貸で部屋を借りている場合、その部屋をきれいに掃除したり消毒したりするのは借主の責任です。

賃貸で借りた部屋で伝染病になったり食中毒になっても、特別な事情が無い限り、大家さん(貸主)の責任になることはありません。

それに対して旅館業である旅館やホテルの場合、部屋や施設の衛生状態を維持管理するのは旅館やホテルの営業者の責任になります。

生活の本拠

旅館業の規定には「施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこと」というものもあります。

賃貸で部屋を借りて住み始めた場合、住民登録や郵便物の配達のための住所変更、固定電話の設置などをして、その部屋が日常生活をするための拠点となります。

それに対して、旅館やホテルは一時的に宿泊する施設ですので、生活の本拠になることはありません。

滞在の契約期間が1ヶ月未満の場合は基本的には「生活の本拠ではない」とされますので、1ヶ月未満の期間で宿泊施設を提供する場合は原則として旅館業許可が必要です。

この違いが、旅館業とアパート等の貸室業の違いとなります。

旅館業法適用基準

 

「民泊」と「民宿」は何が違うの?

「民泊」も「民宿」も同じようなイメージを持たれている方は多いと思いますが、この2つは明らかに違う点があります。

「民泊」は正規の宿泊施設(ホテルや旅館など)が不足している場合に、一時的に一般家庭で旅行者を受け入れることです。

民泊は有償であっても構いません。

それに対して「民宿」は、反復継続して有償で部屋を提供することを指します。

 

Airbnbの登録物件は「旅館業」に該当するの?

厚生省の第49回規制改革会議のヒアリング資料の2課題の欄で「空き室を旅行者に対して仲介する行為自体は規制対象ではない」が、「Airbnbなどの仲介サイトを通じて反復継続して有償で部屋を提供する者は許可が必要」という見解を出しています。

つまりAirbnbなどの仲介サイトを通じて反復継続して有償で部屋を貸し出す場合は、旅館業法の適用対象となり、一時的に家の部屋を貸すような本来の「民泊」には当たらないということになります。

本来の定義で言いますとAirbnbに登録して貸し出している部屋は「民泊」ではなく、旅館業の許可が必要な「民宿」ということになります。

ただ、外国人観光客の急増で宿泊施設が不足しているという問題もあり、先程ご説明しました「民泊新法」の制定に向けて準備が進められています。

 

「農家民泊」と「農家民宿」の違い

農家民泊田舎体験型の民泊と民宿にも同じように違いがあります。

農家民宿は旅館業の許可が必要なのに対して、農家民宿は旅館業の許可は不要です。

旅館業の許可が不要ということは、「反復して有償で部屋を提供する者」ではないので、反復して宿泊客を泊めて宿泊代金を徴収することはできないことになっています。(※但し、食事代や体験指導の対価を受け取ることは可能です。)

詳しくは「農家民泊とは」をご参照下さい。

今まで「民宿」と聞くと、都会では食べられない新鮮な野菜やとれたての海の幸を満喫する贅沢な食事を連想する人も多かったと思います。

しかし、最近では素泊まりで、食事はSNSで調べた地元の隠れ家的な店で食べたい、というように宿泊客の旅に対するニーズも多様化しているので、民泊の要素も取り入れた新しい試みをされている民宿もあります。

民宿の新しい試みの例として『宿民泊』をご紹介していますので、是非ご参照下さい。

 

民泊が注目される背景

現在民泊が脚光を浴びていますが、その背景には何があるのかを見ていきましょう。

 

外国人観光客の増加

観光庁のデータによると2015年の訪日外国人旅行者数は約2000万人となっています。

10年前の2005年と比べると約3倍になっていることから、ここ数年で外国人観光客が急激に増えていることがわかります。

訪日外国人数推移表

さらに2016年3月30日におこなわれた「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」では2020年の訪日外国人観光客数の目標を年間2000万人から4000万人に倍増させ、2030年には6000万人を目指すということが決められました。

当初目標としていた2000万人が2015年にほぼ達成してしまったことから、さらに目標を上に設定することになったのです。

2020年訪日観光客目標

宿泊施設不足問題

これだけ急激に観光客が増えると既存の宿泊施設だけでは対応できないという問題が出てきました。

大型のホテルなどは投資金額もかなりの高額になり、建設出来る条件も厳しく、また建築期間も通常の建物よりも長くなる傾向にありますので、観光客が増えたからといって、すぐにホテルを増やすということは難しいと言えます。

 

宿泊施設不足は特定地域に限られる?

それでは、観光客が増えたからといって日本全国で宿泊施設が不足するかというと、そうゆうわけではありません。

外国人観光客は人気の観光スポットに集中して訪問しますので、そういった地域の宿泊施設が特に不足する傾向にあります。

具体的には、ある民間会社調査データでは不足幅が大きいと予測される順に、大阪、東京、京都、千葉、兵庫、福岡、沖縄、神奈川、奈良、広島、大分が挙げられています。

また、観光庁の「宿泊需給の状況」という資料の「客室稼働率(平成27年7月・第2次速報値)」では以下のようになっています。

客室稼働率

このように、すでに宿泊施設不足が深刻な地域もあり、後述します一般住宅を宿泊用に貸し出す「民泊ビジネス」が注目されています。

 

民泊ビジネス

個人宅を宿泊施設として貸し出す「民泊ビジネス」の貸し手を借り手の仲介をAirbnbが始めてから、世界中で急激に民泊ビジネスが広がりました。

先程ご紹介しましたように、訪日観光客の急激な増加によって一部地域では深刻な宿泊施設不足がおこっています。

日本では法整備が間に合わない状況の中で、Airbnbなどの仲介サイト経由で個人宅を貸し出す「民泊」が増え、旅館業法などの法改正が急ピッチで検討されています。

短期の対策としては、旅館業法の簡易宿所の要件緩和で対応(平成28年4月施行)して、中期の対策としては、「懸念される課題(治安、衛生、近隣トラブル等)への対応が適切に行われるよう、日本型民泊のビジネスモデルを構築し、制度設計することが必要」としています。

そういった法整備と並行して、すでに民泊ビジネス参入を検討している企業は増えています。

参入企業に関しては『民泊ビジネス参入企業一覧』でご紹介しています。

また、民泊新法が制定されることで、今までになかった、新しいタイプのビジネスが出てくることも予想されます。

詳しくは『新法民泊ビジネス「チャンス」と「アイデア」』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

 

民泊を巡る法律

不動産登記とは宿泊する方は何気なく利用しているかもしれませんが、有償で宿泊場所を提供することには多くの法律が関係しています。

その法律をすべてクリアしていないなら、違法営業になります。

特に「旅館業法」という法律で、宿泊施設を提供する場合の要件が細かく規定されています。(旅館業法に関しては『旅館業法とは』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

2014年に京都で、法の基準にかなっていないことが理由で民泊を運営していた業者が摘発されたというニュースもありました。

「民泊」をビジネスとして行う場合、日本の法律に則った形で行うことが大前提となります。

ただ、外国人観光客の急増による宿泊施設不足問題も深刻になって来ている中で、従来の旅館業法の範囲内では宿泊施設の増加が難しいという問題もあります。

そこで、新たに、個人宅を貸し出すという新しいビジネスモデルを、一定の要件を満たした場合に認めるという法律が制定される予定になっています。(詳しくは『民泊新法とは』をご参照下さい。)

 

民泊の規制緩和

しかし実際問題日ごとに増加する外国人観光客を受け入れるためには、さらに多くのホテルや旅館が必要であり、それを民泊が補うことも確かです。

ではこうした新たな変化に対応するため、どのような規制緩和の動きが見られているのでしょうか。

 

国家戦略特区の設定

大阪府民泊実施地域たとえば国が国家的戦略特区と定められているエリアでは、旅館業に関する規制緩和が適用されています。

各戦略特区の条例に定められた要件を満たすことで、観光客に民泊を合法的に提供することができるようになります。

現時点では限られたエリアのみですが、今後さらに多くの規制緩和が適用される可能性はあります。

各戦略特区の自治体によって制定される「民泊条例」に関しましては『民泊条例とは』で詳しくご説明していますので、是非ご参照下さい。

また、国家戦略特区に指定されている地域全てで民泊条例が制定できるわけではありませんので、その点はご注意ください。

国家戦略特区のどの地域で民泊条例の制定が認められているか等は『国家戦略特区とは』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

 

旅館業法の問題

実際旅館業に関する法律の一部は昭和三十二年に制定されています。(詳しくは『旅館業法とは』でご説明していますので、ご参照下さい。)

当時の観光事情と現在とでは大きく異なるため、現在の「民泊」に対応するには法の改正や規制緩和は避けることができませんが、だからといって緩和し過ぎると感染症の問題や犯罪の問題などさまざまな問題が予想されます。

2020年の東京オリンピックまでに相当数の外国人観光客が訪日すると予想されています。

今後さらに多くの観光客を受け入れるためには早急な対応が求められることは言うまでもありません。

しかし、日本とは全く異なった文化や環境の中で育った海外からの観光客が急増する中で、安全を確保するための規制もまた重要なのです。

宿泊施設が足りないという問題がある一方で、日本中で多くの賃貸住宅の空室問題や田舎の空き家問題もあります。

少しでも安い所に宿泊したいと考える旅行者に対して貸しだすことは、空室や空き家問題の解決になるのかもしれません。

「民泊」は、こういった日本で現在抱えている問題の解決策になる可能性はあります。

現在は特例で旅館業法の適用をされない国家戦略特区で「民泊」をスタートする動きがありますが、今後は旅館業法を改定して、特例として適用しないのではなく、全て旅館業法の中で管理するという動きになるかもしれません。

こういった流れの中で、2016年4月1日に旅館業法施行令と厚生労働省の通知によって民泊(簡易宿所営業)の許可基準が一部緩和されました。(詳しくは『ワンルームマンションでの民泊開業が難しい3つの理由』をご参照下さい。)

 

民泊に対する自治体の対応

政府としては宿泊施設の不足を補う手段として、また経済効果の大きさもあって民泊ビジネスを推進したいという意向があります。

最初に民泊条例を制定した東京都大田区や大阪市のように積極的に民泊を推進している自治体もありますが、自治体は急激な規制緩和に対しては慎重な姿勢のところが多いと言えます。

 

大阪府の反応

大阪府は大阪市をはじめとする保健所をもつ6つの市とそれ以外の37の市町村がそれぞれの方針を持って「民泊」に対してどのようにルールを作るかを検討しています。

市街化区域でも工業専用地域を除く全地域で民泊を認めるような大幅な規制緩和を検討している自治体もあれば、民泊条例に不参加を決めている自治体もあります。

詳しくは『民泊条例とは』で説明しておりますので、ご参照下さい。

 

軽井沢町の反応

民泊禁止軽井沢町は2016年3月30日に町内の民泊禁止の方針を打ち出しています。

これは「違法民泊」や「隠れ民泊」と言われる旅館業の許可が必要であるのに取得せずに営業している民泊以外に、簡易宿所として旅館業許可をとる民泊施設(2016年4月1日の規制緩和後の簡易宿所)も禁止の対象にしているという点で注目されています。

詳しくは『軽井沢町の町内全域「民泊禁止」方針発表』でご説明しておりますので、ご参照下さい。

 

東京都台東区

台東区の民泊条例改定2016年4月1日の旅館業法の改正でワンルームマンションでも簡易宿所の許可を取ることが出来る可能性が出ました。

そこで、改正直前に「フロント設置」と「営業従事者の常駐」を台東区の旅館業法施行条例に加える改正案が可決されました。(施行日4月1日)

台東区は民泊反対という姿勢ではないのですが、急激な緩和での混乱を避けるための改正と言われています。

詳しくは『東京都台東区で民泊に関する条例改正案を可決』でご説明しておりますので、ご参照下さい。

 

法律以外の整備の必要性

また法律の緩和だけではなく、あらゆる方面の整備が必要です。

たとえば多くの地元住民は外国人観光客が地元に宿泊することを心配しています。

 

生活習慣の違い

民泊の近隣住民トラブル事例3特に問題になるのは騒音やごみ出しのルールです。

例えば、現時点では、ホテルとちがってゴミはすべてゴミ箱に入れることはできません。

自治体のごみ出しルールに従う必要があります。そのためには実際的な対応策が必要です。

自国ではごみはすべてごみ箱に入れていたのであれば、「なんでゴミを分けるの?」と理解出来ないのも当然かもしれません。

また旅行に出かけてテンションが上がり、にぎやかになるというのはどの国の人でも同じではないでしょうか。

旅行者も地元住民も相互が気配りをすることが必要ですが、宿泊施設を貸す人が旅行者に対して、日本でのマナーやルールを、英語やイラストで相手が判るようにきちんと説明することが重要だと言えます。

実際日本経済が外需に頼らざるを得なくなっている今、こうしたマイナス面も拒否するだけではなく、どのように対応すれば良いかを考える必要があります。

近隣住民とのトラブルに関しましては『「まさか!うちの隣で!?」近所で民泊に泊まる外国人が増えておこったトラブル』で体験談をご紹介していますので、ご参照下さい。

 

納税の義務

所得税と住民税民泊は旅館業に当たるか当たらないかは今後の旅館業法の法改正や解釈次第ですが、利益を出して貸し出しをする場合、所得税や住民税の納税義務がある事はかわりません

特に会社勤めをしていて、副業で部屋を貸すような場合、確定申告といった自分で納税するということに、あまり慣れていない方も多いと思います。

だからといって納税しないのは「脱税行為」ですから、立派な犯罪です。

控除の範囲内の利益でしたら申告は不要ですが、高額の利益が出ているにも関わらず、敢えて申告しない場合、悪質と判断されると追徴課税を課せられることもあります。

民泊をして利益が出る場合は必ず税務署か税理士に相談しましょう。

民泊に関する税金に関しては『民泊用物件購入時に知っておきたい不動産用語』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

 

マンションの民泊利用の問題

マンション管理規約マンションは価値観や職業、性別のことなる人達が共同で一つの建物を利用するため、「管理規約」というそれぞれのマンションのルールを守ることが義務付けられています。

管理規約の中で「民泊禁止」と明記されていない場合、解釈によっては禁止とも利用可とも取れる場合があり、トラブルの原因となっています。

最近では、マンション管理規約に「民泊禁止」を明言しているマンションもあります。

詳しくは『えっ!民泊が禁止!?マンションの「管理規約」って何?」でご説明しておりますので、ご参照下さい。

 

無許可営業の民泊への取り締まり

インターネットで仲介する民泊が登場してから、急激に登録件数が増えました。

今までに無い形態のビジネスのため、旅館業法に適用されるかされないかという点さえも曖昧な状況が続いていました。

民泊のトラブル』のページでご紹介しておりますように、ルール化されていない民泊が増える事で、トラブルも顕在化していきました。

こういったトラブルに対しての苦情が行政によせられるようになったのですが、インターネットのサイトには匿名で登録出来ることもあり、行政で無許可で営業している施設をなかなか特定することができませんでした。

違法民泊のトラブルの対処も急がれ、2015年から政府で有識者の検討会が始まり、やっと少しづつ民泊の位置づけが見えてきました。(詳しくは『そろそろ見えてきた!?「民泊サービス」のルールの方向性』をご参照下さい。)

そして、2016年4月に大阪市で初めて違法民泊が検挙されたように、それまで、ほぼ野放し状態だった民泊に対しても取り締まりが始まりました。(『無許可民泊、1200万円売り上げか「なんでうちの店だけ!?」』)

今後はこういった違法民泊に関しては取り締まりが厳しくなるものと思われます。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

「外国人観光客の急増による宿泊施設不足」「空室・空き家問題」という現在の日本の大きな問題の解決策として「民泊」が注目される理由がご理解頂けたかと思います。

現行の規制の中では「民泊」を拡大することは難しい反面、緩和し過ぎると衛生面や治安面での問題が予想されます。

とにかく規制をなくして民泊業者を増やすようなことになれば、旅行者が不衛生な宿泊施設に法外な値段で泊まらされることが起こりえます。

そうなると宿泊客は経済的な損失だけでなく、精神的なダメージも受け、二度と日本に来たくないとさえ思うかもしれません。

そうした事態を避けるために一定のルールが必要であり、それにより快適な宿が提供されるのです。

清潔で安心して過ごせる宿に宿泊するなら、また日本に来たいと思うでしょう。

その結果日本全体には大きな経済効果がもたらされることにもつながります。

もちろん経済効果だけでなく、こうした旅行者の増加は異文化の民間交流にも大きく貢献します。

確かに、今後も空き家や民家を利用したビジネスには様々な課題が出てくる可能性がありますし、更に新たな問題も出てくることも考えられます。

しかし、現在の宿泊施設の不足解消や不動産の空室リスクを軽減するという意味では、「民泊」という新しいビジネスは、リスクよりもチャンスの方が大きいと見ることも出来ると思います。

民泊を始めてみたいと思われている方は『民泊の始め方』をご参照下さい。

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。