民泊が出来る地域は限られる!?「用途地域」とは

[記事公開日]2016/05/06
[最終更新日]2017/09/20
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特別用途地区とは

 

旅館業や特区民泊の営業許可を取得するためには、旅館業や民泊の営業が出来る地域であることが必要です。

旅館業の場合、都市計画法・建築基準法によって旅館業が出来る地域が決まっています。

特区民泊の場合は各自治体の条例によって特区民泊の営業が出来る地域と出来ない地域が決められています。

その地域のことを「用途地域」と呼びます。

用途地域とは、どういったものなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

 

用途地域とは

まずは「用途地域」とはどのような理由で設定されるのかをみてみましょう。

自分の土地だからといって、好き勝手に建物を建てていいわけではありません。

住宅街のど真ん中に工場を作ったりすると、騒音や臭いなど、その周りに住んでいる人達の住環境が悪くなってしまう場合があります。

学校の真横に風俗店が出来たりしたら、通学する子供達にも悪影響が出ますよね。

そのようにいろいろな用途の建物が無秩序に混在しないように、地域ごとに建てられる建物の用途を決めているのです。

例えば、第一種低層住居専用地域は、低層住宅のための地域で、小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられると規定されています。

これらの地域を「用途地域」といいます。

用途地域

 

民泊と用途地域の関係

以下の表にありますように、12種類の用途地域の中で、旅館業等が出来るのは6地域のみです。

民泊は簡易宿所営業に該当しますので、旅館業等が営業出来る地域でしか営業は出来ません。

用途地域

しかし「民泊」という言葉の通り、民泊は本来住居として使っている建物を宿泊用に貸すものですので、住居専用地域にある建物を民泊用として貸したいという需要もたくさんあります。

こういった需要があるにも関わらず、現状では旅館業等の用途制限をされている地域では民泊を行う事が出来ません。

この「用途地域による建築物用途制限」が合法的に民泊ビジネスをおこなう(民泊の許可をとる)ことの、一つの壁になっているのです。

 

用途規制の例外

それでは、用途規制に適合しない建築物は絶対に建てられないのでしょうか。

実は、用途規制の例外もあるのです。

用途地域や建物の用途は建築基準法や都市計画法という国の法律で決められているものです。

ですから「用途地域」は日本全国共通のルールと言えます。

しかし、地方にはそれぞれの事情があります。

日本全国の全ての用途地域をこの12地区だけで分けてしまうと、各地方の方針や環境の保護などの個々の事情にとって不十分であったり不都合が生じてしまう場合があります。

そのため、「特別用途地区」や「地区計画」、「建築基準法第48条のただし書きによる特定行政庁の許可」のように、各地方の事情に合うように、用途地域を補完する目的で、各地方自治体が条例で用途を独自の制限又は緩和をするケースがあります。

つまり、「特別用途地区」「地区計画」などは地方版のルールと言えます。

例えば、通常は大型ショッピングセンターが建設出来る用途地域に、その地域の事情を考慮して、その用途地域内のある一定地域には500㎡超のショッピングセンターは建てられないと条例で制定するような場合があります。

 

用途地域の例外

 

遊休期間の別荘貸出し【平成 27 年度措置】

都市計画法に基づいて用途地域として指定された住居専用地域では、建築基準法上の規制によりホテル又は旅館を設けることはできません。

住宅として建築された別荘を、その所有者が利用しない遊休期間中に他人に有償で貸そうとしても、建築基準法上はホテル又は旅館とみなされるため、住居専用地域において当該用途に用いることができず、地域活性化の支障になっているという指摘がありました。

この指摘に対して「規制改革実施計画」(平成 27 年 6 月 30 日閣議決定)では、遊休期間の別荘貸出し【平成 27 年度措置】として、以下のように記されています。

住宅として建築された別荘を、その所有者が利用しない遊休期間中に他人に有償で貸し出す場合は、旅館業法による許可が必要であるが、建築基準法の用途規制においては、地域の実情に応じて、地方公共団体が特別用途地区や地区計画を活用し、条例により必要な規定を定めた場合や特定行政庁が良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて個別に許可した場合には、住居専用地域においても立地できることについて、地方公共団体に周知する。

つまり、「条例により必要な規定を定めた場合や特定行政庁が良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて個別に許可した場合」であれば、遊休期間の別荘貸出も可能ということになります。

 

特別用途地区とは

先程ご説明しましたように、旅館業の用途制限がされている地域では民泊が出来ない事が壁になっています。

そこで注目されているのが、「特別用途地区」と呼ばれる地区の設定です。

市町村が都市計画で定めす「特別用途地区」では、各自法自治体が条例によって用途制限の緩和(又は強化)をする事が出来ます。

つまり、民泊(旅館業)が出来ない地域であっても、条例によって営業が出来るとすることも出来ると言うことになります。

2016年4月22日の第9回「民泊サービス」のあり方に関する検討会では、以下の資料が配布されています。

特別用途地区とは

6月に方向性が決まる予定の民泊に関して、一つの壁となっている「用途制限」の問題は「特別用途地区」の制度を活用することでクリアする方向に向かうのかもしれません。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

閑静な住環境の中に住みたいという理由で住居専用地域の家を購入された方もいらっしゃると思います。

そのような人達の意見を無視して、無秩序に特別用途地区を設定して民泊を出来るようにするようなことは当然問題があると思います。

しかし、用途制限のために一律に民泊を禁止してしまうことは、逆に無許可民泊を増やしてしまう可能性もあるのではないかと思います。

きちんと地域住民に説明して納得してもらう形で緩和する必要があるのだと思います。

ただ禁止するだけではなく、きちんと話し合った結果、緩和出来るところは緩和して民泊ビジネスのルールを確立していって頂きたいと思います。

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。