軽井沢町の町内全域「民泊禁止」方針発表

[記事公開日]2016/04/01
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民泊禁止

リゾート地として有名な軽井沢町が3月30日に「民泊施設等の取扱基準について」として、町内全域での民泊禁止の方針を発表しました。

軽井沢町では「民泊施設」と「貸別荘」を分けて取扱基準を設定しています。

 

民泊に関して

軽井沢町は古くから観光地・リゾート地としてとしてのまちづくりを進めて、出来るだけ多くの観光客が快適に過ごせるように法令の手順を経て多数の宿泊施設が設置されています。

そういった今まで築き上げてきた「善良なる風俗の維持及び良好な自然環境の保全」を最優先とする必要があるという判断から、今回の「民泊と貸別荘に関しての基準」を発表したとのことです。

 

民泊の取扱基準

民泊に関しては非常にシンプルです。

1.民泊施設(貸別荘を除く)は、町内全域において認めない

2.ベッド上で起臥できるだけの大きさのカプセル状(箱形)の小室を並べた簡易な宿泊施設(いわゆる「カプセルホテルその他これに類する施設」)の設置は、町内全域において認めない。

※民泊施設とは、改正後の旅館業法施行令(平成28年4月1日改正)により延床面積の規定が緩和されたことにより生じる簡易宿所(いわゆる「民泊」)をいう。

「民泊もカプセルホテルも軽井沢町内では認めない」というものです。

ここで注目すべきは「改正後の旅館業法施行令(平成28年4月1日改正)により延床面積の規定が緩和されたことにより生じる簡易宿所」つまり旅館業法を緩和した後、旅館業として合法的に営業が出来る「民泊施設」も町内での営業を認めないとしている点です。

貸別荘という例外もありますが、後述しますように厳しい基準がありますので、民泊の抜け穴として利用するようなことは出来ません。

 

貸別荘に関して

貸別荘に関しては民泊とは異なる位置づけをしていますが、1ヶ月以上の契約期間や用途変更、用途地域の制限、近隣説明、転貸の不可など細かい条件を設定して、民泊の抜け穴として利用されないようにしています。

 

貸別荘の取扱基準

貸別荘に関しては、以下のように民泊と異なる取扱基準を設定しています。

賃貸契約期間

1.貸別荘とは、生業として、不特定の者に1ヶ月以上の契約期間で賃貸する戸建ての住宅をいう。

1ヶ月以上とされていますので、観光客が一泊二日で泊まる民泊のような利用は出来ません。

この1ヶ月以上というのは旅館業法の適用がない賃貸借契約期間の目安となるものです。

用途地域制限

2.第1種低層住居専用地域及び自然保護協定等の締結地において、貸別荘はできないものとすること。

用途地域に加えて自然保護協定などの締結地でも貸別荘はできないとして、民泊と同じように「騒音や風紀の乱れを防ぎ、良好な環境の保持を最優先する」という姿勢を打ち出しています。

用途変更条件

3.貸別荘の建設又は既存建物から貸別荘へ用途変更を行う場合は、「軽井沢町の自然保護のための土地利用行為の手続等に関する条例」の規定に基づき事前協議を行うものとすること。

用途変更を行う際には条例に基づいて事前協議が必要とすることで、知らないうちに貸別荘が増えて自治体が把握出来なくなるようなことがないようにしています。

近隣説明範囲

4.不特定の者が宿泊することとなり宿泊施設と類似であることから、近隣説明を実施する範囲は、行為地の敷地境界線から50mの範囲とすること。

大田区の民泊条例(大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する規則)の第9条でも以下の範囲の近隣住民への書面での周知を義務付けています。

(1) 当該特定認定を受けようとする事業で使用する施設の存する建物に他の施設が存する場合の当該他の施設の使用者

(2) 次のア又はイに掲げる建物(一方の建物の外壁から他方の建物の外壁までの水平距離が原則として 20 メートルを超えるものを除く。)の使用者

ア 当該特定認定を受けようとする事業で使用する施設の存する建物の敷地の境界線に接する敷地に存する建物の使用者

イ 当該特定認定を受けようとする事業で使用する施設の存する建物の敷地の境界線から道路、公園等の施設を挟んで隣接する建物の敷地の境界線までの水平距離が原則として 10 メートル以下である場合の当該建物の使用者

転貸不可

5.軽井沢町の善良なる風俗を維持するための要綱を尊重した利用規約を作成し、利用者に対して静穏の保持及び善良なる風俗維持を徹底させるものとすること。なお、転貸は不可とすること。

転貸が問題になる場合は一般的には大家に内緒で営業する無断転貸が多いのですが、軽井沢町の場合は転貸自体を禁止しています。

転貸の場合は事故が起こった場合の責任の所在が曖昧になる可能性もありますので、そういった点を考慮しているのかもしれません。

その他

それ以外にも以下のような基準が設定されています。

6.関係法令等を遵守し、公序良俗を損なわないものとすること。

7.町内に常駐する管理運営責任者を定めるものとすること。

8.万一、苦情等が発生した場合、管理運営責任者は、速やかに善処するものとすること。

9.この基準の適用の際、現に実施されている事業については、この基準の規定は、適用しない。また、現に実施されている事業について、同程度の改築は可能とする。

 

今後の注目点

現在、airbnbなどの民泊仲介サイトにも軽井沢町の物件は登録されています。

現在登録されている物件が旅館業登録しているのかしていないのかは分かりませんが、簡易宿所として旅館業登録していても軽井沢町では営業が出来ないことになります。

しかし、旅館業法の許認可権は県にありますので、町には許可を取ったものまで禁止する強制力まではありません。

今後、軽井沢町は県に対して町内での民泊は許可しないように働きかけていく考えだそうです。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

観光地の環境作りは、宿泊施設だけではなく近隣の住民や地域の生活の中で長い間かけて作り上げてきているものです。

単に宿泊施設が足りないからという理由で、宿泊施設の部分のみを緩和してしまうと、他の部分にしわ寄せが行く可能性もあります。

今後の軽井沢町の動向とそれ以外の自治体の動向も注意深く追っていきたいと思います。

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。