国家戦略特別区域(国家戦略特区)とは

[記事公開日]2016/02/15
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国家戦略特別区域とは

民泊について調べていると「国家戦略特別区域(国家戦略特区)」という言葉をよく目にすると思います。

旅館業法の適用がない民泊条例も国家戦略特区となっている自治体で制定されます。

それでは「国家戦略特区」とは一体どのようなものなのかを詳しくご説明したいと思います。

 

国家戦略特別地域(国家戦略特区)とは

国家戦略特別区域国家戦略特別地域(通称:国家戦略特区)とは、地域を限定して「解雇ルール」「労働時間法制」「有期雇用制度」の3点を、地域振興と国際競争力向上ために従来の規制を大幅に緩めることを認めた経済特区です。

地域ごとに緩和される規制は異なります。

また、緩和を認めると言っても、民泊条例を制定していない戦略特区の自治体もあるように、必ず緩和されるというわけでもありません。

どのように緩和するかのルールは各自治体ごとの条例で規定されることになります。

また、大阪府のように民泊条例を制定しても、そこに参加するかしないかは各市町村の考えによってさまざまです。(詳しくは『大阪府の民泊条例に対する市町村の反応』をご参照下さい。)

以下に、2016年1月29日に変更された国家戦略特別区域及び区域方針(平成28 年1月 29 日 一部変更)に関してみていきましょう。

 

 東京圏

対象区域

東京都、神奈川県並びに千葉県千葉市及び成田市

目標

2020 年開催の東京オリンピック・パラリンピックも視野に、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備することにより、世界から資金・人材・企業等を集める国際的ビジネス拠点を形成するとともに、近未来技術の実証や創薬分野等における起業・イノベーションを通じ、国際競争力のある新事業を創出する。

政策課題

(1)グローバルな企業・人材・資金等の受入れ促進
(2)女性の活用促進も含めた、多様な働き方の確保
(3)起業等イノベーションの促進、創薬等のハブの形成
(4)外国人居住者向けを含め、ビジネスを支える生活環境の整備
(5)オリンピック・パラリンピックを視野に入れた国際都市にふさわしい都市・交通機能の強化

事業に関する基本的事項

<都市再生・まちづくり>

・ 国際的ビジネス拠点の形成に資する建築物の整備【容積率】
・ まちなかの賑わいの創出【エリアマネジメント】
外国人の滞在に適した宿泊施設の提供【旅館業法】

<雇用・労働>

・ グローバル企業等に対する雇用条件の整備【雇用条件】
・ 多様な外国人受入れのための在留資格の見直し【家事支援、創業】

<医療>

・ 外国人向け医療の提供【外国医師】
・ 健康・未病産業や最先端医療関連産業の創出【病床、外国医師、保険外併用】
・ 国際的医療人材等の養成【医学部、病床、外国医師、有期雇用】
・ 遠隔服薬指導の実施

<保育>

・ 地域限定保育士試験の実施【地域限定保育士】
・ 待機児童解消のための都市公園内への保育所設置【都市公園保育所】

<歴史的建築物の活用>

・ MICE に伴うアフターコンベンションの充実【古民家等】

<その他>

・ 法人設立手続の簡素化・迅速化(書類の英語対応や一元的窓口の設置等)
・ 都市部等における小型無人機及び自動走行等の近未来技術実証のための制度整備

 

 関西圏

対象区域

大阪府、兵庫県及び京都府

目標

健康・医療分野における国際的イノベーション拠点の形成を通じ、再生医療を始めとする先端的な医薬品・医療機器等の研究開発・事業化を推進するとともに、チャレンジングな人材の集まるビジネス環境を整えた国際都市を形成する。

政策課題

(1)高度医療の提供に資する医療機関、研究機関、メーカー等の集積及び連携強化
(2)先端的な医薬品、医療機器等の研究開発に関する阻害要因の撤廃、シーズの円滑な事業化・海外展開
(3)チャレンジングな人材の集まる都市環境、雇用環境等の整備

事業に関する基本的事項

<医療>

・ 再生医療等高度な先端医療の提供【病床、外国医師、保険外併用】
・ 革新的医薬品、医療機器等の開発【病床、外国医師、保険外併用、有期雇用】

<雇用>

・ ベンチャー企業やグローバル企業等に対する雇用条件の整備【雇用条件】

<都市再生・まちづくり>

・ 国際ビジネス拠点の形成に資する建築物の整備【容積率】
・ まちなかの賑わいの創出【エリアマネジメント】
外国人の滞在に対応した宿泊施設の提供【旅館業法】

<教育>

・ 国際ビジネスを支える人材の育成【公設民営学校】

<歴史的建築物の活用>

・ 古民家等の活用による都市の魅力向上、観光振興【古民家等】

 

新潟県新潟市

対象区域

新潟県新潟市

目標

地域の高品質な農産物及び高い生産力を活かし革新的な農業を実践するとともに、食品関連産業も含めた産学官の連携を通じ、農業の生産性向上及び農産物・食品の高付加価値化を実現し、農業の国際競争力強化のための拠点を形成する。あわせて、農業分野の創業、雇用拡大を支援する。

政策課題

(1)農地の集積・集約、企業参入の拡大等による経営基盤の強化
(2)6次産業化及び付加価値の高い食品開発
(3)新たな技術を活用した革新的農業の展開
(4)農産物及び食品の輸出促進
(5)農業ベンチャーの創業支援

事業に関する基本的事項

<農業>

・ 農地の集約・集積、耕作放棄地の解消【農業委員会】
・ 農業者の経営基盤の強化【農業生産法人、信用保証】
・ 6次産業化の推進【農業生産法人、信用保証、農家レストラン】
・ 食品の高付加価値化(食品機能性表示制度等の活用)

<雇用>

・ 農業ベンチャーの創業支援【雇用条件】

 

兵庫県養父市

対象区域

兵庫県養父市

目標

高齢化の進展、耕作放棄地の増大等の課題を抱える中山間地域において、高齢者を積極的に活用するとともに民間事業者との連携による農業の構造改革を進めることにより、耕作放棄地の再生、農産物・食品の高付加価値化等の革新的農業を実践し、輸出も可能となる新たな農業のモデルを構築する。

政策課題

(1)耕作放棄地等の生産農地への再生
(2)6次産業化による付加価値の高い新たな農産物・食品の開発
(3)農業と観光・歴史文化の一体的な展開による地域振興

事業に関する基本的事項

<農業>

・ 耕作放棄地等の再生【農業委員会、農業生産法人】
・ 農産物・食品の高付加価値化の推進【農業生産法人、信用保証、農家レストラン】

<歴史的建築物の活用>

・ 交流者滞在型施設の整備【古民家等】

 

福岡県福岡市・北九州市

対象区域

福岡県福岡市及び北九州市

目標

雇用条件の明確化及び高年齢者の就業支援などの雇用改革等を通じ国内外から人と企業を呼び込み、起業や新規事業の創出等を促進することにより、社会経済情勢の変化に対応した産業の新陳代謝を促し、産業の国際競争力の強化を図るとともに、更なる雇用の拡大を図る。

政策課題

(1)起業等のスタートアップに対する支援による開業率の向上
(2)MICE の誘致等を通じたイノベーションの推進及び新たなビジネス等の創出
(3)高年齢者の活躍や介護サービスの充実による人口減少・高齢化社会への対応

事業に関する基本的事項

<雇用・労働>

・ 創業後5年以内のベンチャー企業等に対する雇用条件の整備【雇用条件】
・ 多様な外国人受入れのための在留資格の見直し【創業】
・ 高年齢者の雇用促進
・ 官民の垣根を越えた人材移動の柔軟化【官民人材】

<医療・介護>

・ 外国人向け医療の提供【病床、外国医師】
・ 介護ロボットの導入促進

<都市再生・まちづくり、歴史的建築物の活用>

・ まちなかの賑わいの創出【エリアマネジメント、古民家等】
外国人の滞在に適した宿泊施設の提供【旅館業法】

 

沖縄県

対象区域

沖縄県

目標

世界水準の観光リゾート地を整備し、ダイビング、空手等の地域の強みを活かした観光ビジネスを振興するとともに、沖縄科学技術大学院大学を中心とした国際的なイノベーション拠点の形成を図ることにより、新たなビジネスモデルを創出し、外国人観光客等の飛躍的な増大を図る。

政策課題

(1)外国人観光客等が旅行しやすい環境の整備
(2)地域の強みを活かした観光ビジネスモデルの振興
(3)国際的環境の整ったイノベーション拠点の整備

事業に関する基本的事項

<観光>

・ 外国人観光客の入国の容易化(ビザ要件の緩和)
・ 入管手続の迅速化(民間委託等)
・ 外国人ダイバーの受入れ(潜水士試験の外国語対応)

<労働>

・ 海外からの高度人材の受入れ(ビザ要件の緩和)

 

秋田県仙北市

対象区域

秋田県仙北市

目標

市域の6割を占める国有林野について、その豊富な土地・資源を最大限有効に活用するため、内外の林業者や放牧等の食関連事業者への民間貸付・使用の拡大を促進するとともに、無人自動飛行(ドローン)の実証などにより、最先端の地方創生のモデルケースを発信する。また、地域での国際交流の促進や臨床修練制度による外国人医師の受入環境を整備し、農林・医療などの総合的な交流拠点を形成する。

政策課題

(1)国有林野の民間開放による有効活用
(2)臨床修練制度を活用した国際交流の促進
(3)耕作放棄地等の生産農地への再生
(4)国内外観光客の誘客と観光拠点の開発
(5)地域の安全対策及び第一次産業への無人自動飛行の活用

事業に関する基本的事項

<農林業>

・ 国有林野の貸付に係る対象者・面積の拡大【国有林野】
・ 農業生産法人の設立環境、経営環境の整備【農業生産法人】
・ 後継者不足と耕作放棄地解消のための農業分野の制度整備

<医療>

・ 臨床修練制度を活用した外国人医師の診療所における診察【外国医師診療所】

<まちづくり>

・ 農業体験者への農家民宿の適用拡大

<その他>

・ 国有林野を活用した自動飛行の技術実証等のための制度整備

 

宮城県仙台市

対象区域

宮城県仙台市

目標

女性、若者、シニアが主導するソーシャル・イノベーション(社会起業)を推進するため、開業手続きの迅速化や保育士不足の解消を図るとともに、産学連携の下、自動走行等の技術実証などの新たなイノベーションを通じ、被災地からの新しい経済成長のモデルを構築する。

政策課題

(1)女性、若者、シニアなどを重視した意欲ある起業家の輩出
(2)株式会社やNPO法人などの起業手続きの迅速化
(3)起業家・ベンチャー企業の経営の安定化・雇用の拡大
(4)保育士確保、待機児童解消等による女性の社会参加の拡大
(5)被災対応・産業復興のための次世代移動体システムの実証促進

事業に関する基本的事項

<保育>

・ 政令市における地域限定保育士試験の実施【地域限定保育士】
・ 待機児童解消のための都市公園内への保育所設置【都市公園保育所】

<雇用・創業>

・ NPO法人の設立認証申請時の縦覧期間を短縮【NPO】
・ 定款認証を行う公証人の柔軟な配置【公証人】
・ 社会的企業等に対する雇用条件の整備【雇用条件】

<まちづくり>

・ まちなかの賑わいの創出【エリアマネジメント】

<その他>

・ 産学連携の下での自動走行等の近未来技術実証のための制度整備

 

愛知県

対象区域

愛知県

目標

自動車・航空宇宙等の国内最大のモノづくりの集積地として、教育・雇用分野における規制改革を通じた産業人材の育成や次世代技術の実証を通じ、成長産業・先端技術の中枢拠点を形成する。併せて、農業分野においても農地の流動化、耕作放棄地の解消等を図ることにより、第一次産業も含めた総合的な規制・制度改革を実現する。

政策課題

(1)公立学校における多様な教育の提供による産業人材の育成
(2)農業の所得向上と成長分野への転換
(3)先進医療の拡大
(4)外国人も含めた最適な雇用環境を整備
(5)成長産業・先端技術の中枢拠点の形成

事業に関する基本的事項

<教育>

・ 高度なモノづくり・産業人材の育成・確保【公設民営学校】

<農業>

・ 農地の集約・集積、耕作放棄地の解消【農業委員会】
・ 企業の農業への参入促進【農業生産法人】
・ 農業者の経営基盤の強化【農業生産法人、信用保証】
・ 6次産業化の推進【農業生産法人、信用保証、農家レストラン】

<雇用・労働>

・ グローバル企業等に対する雇用条件の整備【雇用条件】
・ 多様な外国人受け入れのための在留資格の見直し

<医療>

・ 高度な先端医療の提供【保険外併用】

<その他>

・ 有料道路管理の民間開放
・ 自動走行等の近未来技術実証のための制度整備

 

広島県・愛媛県今治市

対象区域

広島県及び愛媛県今治市

目標

「しまなみ海道(西瀬戸自動車道)」で繋がる広島県と今治市において、多様な外国人材を積極的に受け入れるとともに、産・学・官の保有するビッグデータを最大限に活用し、観光・教育・創業などの多くの分野におけるイノベーションを創出する。

政策課題

(1)創業人材を含めた高度外国人材の集積の推進
(2)雇用ルールの明確化によるグローバル企業・新規企業への支援
(3)地場製造業や新たなホスピタリティ・サービス産業の活性化
(4)スポーツ・教育面における国際交流拠点の整備
(5)観光分野における先進的な「自治体間連携モデル」の推進

事業に関する基本的事項

<雇用・労働>

・ 多様な外国人受入れのための在留資格の見直し【家事支援、創業】
・ クールジャパン外国人材の就業促進
・ 技能実習制度の拡充
・ 高度人材ポイント制度の拡充
・ グローバル企業等に対する雇用条件の整備【雇用条件】
・ 官民の垣根を越えた人材移動の柔軟化【官民人材】

<都市再生・まちづくり>

・ 「道の駅」の設置主体(地方公共団体等)の民間拡大

<教育>

・ 国際教育拠点の整備(獣医師系(ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野))

<医療>

・ 臨床修練制度を活用した外国人医師の診療所における診察【外国医師診療所】

<その他>

・ 小型無人機による公共インフラの保守管理など

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

国家戦略特別区域といっても、各地の目標と政策課題によって緩和される法令も異なるということをご理解頂けたかと思います。

国家戦略特区であっても全ての地域で民泊条例を制定出来るわけではありません

外国人の滞在に適した宿泊施設の提供を目的として旅館業法の適用対象外とするのは、2016年1月29日時点では首都圏、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)と福岡県のみです。

沖縄県はビザ要件の緩和はありますが、旅館業法に関する緩和は今のところ認められていません。

国家戦略特区に関しては平成26年5月11日に 内閣総理大臣決定後、平成27年8月28日に一部変更され、さらに平成28年1月29日に一部変更されていますので、今後も追加変更があると思われます。

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。