民泊条例とは|民泊条例をわかりやすく全解説します!

[記事公開日]2016/01/25
[最終更新日]2016/10/31
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民泊条例とは

中国をはじめとする外国からの観光客が急激に増え、宿泊施設の不足解消が非常に大きな課題となっています。

宿泊施設を提供する為には「旅館業法」という法律に則って、国からの許可を受ける必要があります。

ただ、この旅館業法には施設内の設備や面積など細かい要件があり、すぐに宿泊施設を提供する業者を増やすことが出来ないのです。

また、旅館業法以外にも、都市計画法という法律で住居専用地域と指定されている地域には、建築基準法上のホテル又は旅館を設けることが出来ないといったように、旅館業法以外の法律の問題もあります。

このように簡単にホテルや旅館の数を増やせないという状況の一方で、海外からの観光客が年々増え続け、宿泊施設が慢性的に不足しているという状況でもあります。

そこで、特に宿泊施設の不足が深刻な東京と大阪で「国家戦略特区」を利用した「民泊条例」というものが施行されました。(詳しくは「民泊とは」をご参照下さい。)

このページでは民泊の許可申請に必要となる「民泊条例」に関して詳しくご説明致します。

(大阪市の特区民泊に関してご興味がある方は『大阪市特区民泊勉強会』もご参照下さい)

 

民泊条例とは

民泊条例とは民泊条例は、正式には「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例」と言います。

以下のように実施出来る地域を定めています。

名称:国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業

内容:旅館業法の特例
(国家戦略特別区域法第 13 条に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)

国家戦略特別区域法第 13 条第1項に規定する特定認定を受けた者が、次に掲げる地域において、海外からの観光客やMICEへのビジネス客等の滞在に適した施設に係る外国人滞在施設経営事業を行う。

 

(民泊条例で定めている「特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設)」に関しては『特区民泊とは』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。)

ここ数年でインターネットを利用した「自分の家をネットを通じて観光客に貸す」という新しいビジネスが生まれ、外国人観光客の増加による宿泊施設の不足解消という需要にマッチして、急激に利用者数を伸ばしています。

しかし「民泊の問題点と今後の課題」でも書いていますように、現行では「旅館業法」という法律で宿泊施設を提供できる条件を厳しく定めています。

この旅館業法に抵触するかしないかで営業されている「民泊」のグレーゾーンを解消するために、民泊条例が検討されることになりました。

民泊条例では、旅館業法に適用されない条件として、以下のように定められています。

  • 国家戦略特別区域内であること
  • 賃貸借契約およびこれに付随する契約に基づくものであること
  • 使用期間が7~10日の範囲であること
  • 居室は国家戦略特別区域法施行令12条3号を満たすこと
  • 外国語の案内があること
  • 事業の一部が旅館業に該当すること

※民泊条例と旅館業法、民泊新法の違いに関しては『一目瞭然!「旅館業法」「民泊新法」「民泊条例」の比較一覧』のページで詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。

それでは、民泊条例の内容に沿って、民泊の許可申請をするのに必要な事項を詳しく見ていきましょう。

 

【民泊の許可申請条件1】国家戦略特別区域内の施設

国家戦略特別区域とは「国家戦略特区」とも呼ばれ、地域を特定して、そのエリア内に限って従来の規制を大幅に緩めて企業誘致や特定のビジネスの戦略的な活性化をめざす地域のことを言います。

平成28年1月16日現在では、大阪府と東京都大田区が「民泊条例」の制定を進めています。

ですから、まずは、民泊を提供する建物のある場所が国家戦略特別区域になければいけません

国家戦略特区にある施設の場合は許可を得る事が出来る可能性がありますが、それ以外の区域にある場合は残念ながら対象外となります。

その為、日本国内にあればどこにある施設でも良いかと言ったらそうではなく、限られた地域にある建物・施設でなければいけません。

また、国家戦略特区に指定されている地域全てで民泊条例が制定できるわけではありませんので、その点はご注意ください。

国家戦略特区のどの地域で民泊条例の制定が認められているか等は『国家戦略特区とは』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

 

【民泊の許可申請条件2】賃貸借契約(定期借家契約)の締結

二つ目は、賃貸契約に関してです。

通常、ホテルを宿泊する場合、いちいち賃貸借契約を結ぶことはありませんよね。

しかし民泊では「賃貸借契約およびこれに付随する契約(定期借家契約)」を貸主(ホスト)と借主(ゲスト)が締結しなければいけません。

 

定期借家制度って、何?

定期借家契約とは従来の借家契約(普通借家契約)では、貸主は「正当な事由」がなければ解約や借主からの契約の更新を拒むことができません。

この正当な理由というのが曖昧なので、普通借家契約では契約期間を定めていても、借主から更新を求められた場合に確実に契約が終了できるとは限りません。

それではあまりに貸主が不利になるということで、2000年(平成12年)3月1日から「定期借家制度」が施行され、どちらの契約にするかを選択出来るようになりました。

定期借家制度は、契約期間の満了により確定的に契約が終了するという制度なので、借主が更新したいと申し入れても契約期間満了時に契約は終了します。

民泊条例の民泊施設はホテルや旅館のような形態ではなく、この「定期借家制度」を使った宿泊施設と位置付けられています。

ですから、毎回宿泊客と定期借家契約を締結しなければいけないのです。

 

【民泊の許可申請条件3】宿泊日数の条件

滞在日数特区民泊は滞在期間を7日以上として、それ以下滞在期間の場合は施設として許可がでませんでした。

しかし、6泊7日以上宿泊する外国人観光客がほとんどおらず、特区民泊の制度がほとんど活用されない状態が続きました。

そこで2016年9月9日の国家戦略特別区域諮問会議で6泊7日から2泊3日に条件が緩和が決定されました。

2016年10月25日に2泊3日に緩和する政令が閣議決定され、10月31日からの施行となります。

政令が改定されても各自治体の条例の変更も必要になります。

大阪市では11月30日の市議会に特区民泊の宿泊条件を2泊3日に緩和する条例改正案を提出し、2017年1月の施行を予定しています。

 

【民泊の許可申請条件4】民泊施設の条件

民泊施設の条件三つ目は施設そのものの条件です。

民泊施設はどのような建物であっても良いのではなく、ある程度の広さを確保しなければいけません。

基本的には部屋一つの床面積は25平方メートル以上である事と言うのが条件になっています。

旅館業法では洋室が9㎡以上、和室が7㎡以上、簡易宿所は延べ床面積が33㎡以上と規定されていますので、民泊条例では、広さをの定義するにあたっては、民泊施設を簡易宿所と近いものと想定していると思われます。

 

また、出入り口や窓などは施錠できるタイプになっている必要があります。

鍵に関しては、一般家庭の空き家を利用する場合は各部屋に施錠できるように鍵を設置する必要があるので注意しなければいけません。

また日本家屋の中には部屋の区切りをふすまなどで行っている場合もありますが、基本的には壁で区切られている必要があります。

これは施錠という点からもしっかりと注意しておかなければいけません。

これらはは旅館業法の簡易宿所には規定されておらず、洋室としては規定されています。

こういったところをみても、旅館業法の中身としても、現在定義している4つのカテゴリとは別の「民泊営業」というカテゴリが必要になってくるのかもしれません。

 

勿論エアコンなどを設置しておく事、電灯なども完備しておく事、さらにトイレなどを用意しておく事も必要です。

トイレなどは共用ではなく、それぞれの部屋にあるようにするという事になります。

後は、清潔にしておく必要がある事、そして外国人対応と言う事なのでそれに対しての外国語の案内の設置などの配慮、情報提供などを行う事が出来る事なども民泊許可の要件に含まれます。

それ程特別な内容があるという訳ではなく、基本的な事を抑えておく必要があるという事を理解しておかなければいけません。

 

【民泊の許可申請条件5】書類での申請

書類で申請民泊許可は書類で申請する必要があります。

ではどういう書類が必要なのでしょうか。

まず一つは申請書です。

またその時には住民票の写しや施設の構造を明らかにする事が出来る図面などを用意しておかなければいけません。

さらに民泊は賃貸契約と言う事になるので、それに関する約款なども用意する必要があります。

個人で申請をするのか、それとも法人が行うのかによっても必要となる書類が変わって来るので、予め何を用意しておくかを調べておく事が重要です。

またその場合は必要な物を全て用意してから申請に行く事、書類の内容には不備が無いようにするという事が必要となります。

ここで不備があると申請手続きを進める事が出来なくなってしまうので、充分気を付けなければいけません。

 

自治体による民泊条例の違い

民泊条例といっても、各自治体でその地域に合った条例を制定しますので、当然内容も異なります。

国家戦略特区では旅館業法を適用外と出来るとされていますが、建築基準法に関しては、各自治体で考え方が異なっています。

 

東京都大田区の場合

東京都大田区の民泊条例では以下のように建築基準法でホテル、旅館の建築可能な地域にのみ民泊を認めています。

大田区における外国人滞在施設経営事業(旅館業法の特例)実施地域

大田区における国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の実施地域は、既存の都市環境、住環境保全の観点から、建築基準法第48条により「ホテル・旅館」の建築が可能な用途地域(第1種住居地域にあっては3,000平方メートル以下)とします。

実施地域:第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第一種住居地域(3,000平方メートル以下)

つまり、建築基準法は適用するという解釈です。

 

何故、大阪府と大阪市が別々に条例を制定するの?

どうして?大阪府の民泊条例は大阪府全域に適用されるのではありません。

独自で保健所を持つ大阪市等の政令指定都市、中核市はそれぞれ条例を制定する必要があるのです。

ですから政令指定都市及び中核市以外の市町村(37市町村)が大阪府の民泊条例の対象になります。

 

大阪府の民泊条例の適用外となる市町村

以下の政令指定都市及び中核市は市として保健所を持っていますので、独自で民泊条例を制定する必要があります。

  • 大阪市
  • 堺市
  • 高槻市
  • 豊中市
  • 東大阪市
  • 枚方市

 

37市町村の大阪府民泊条例に対する反応

2015年12月11日の大阪府の発表によると、以下の4つの市が今回の「民泊条例」に対して不参加を決めたと言われています。

  • 吹田市
  • 池田市
  • 交野市
  • 松原市

さらにまだ不参加は決めていないけれども民泊条例に懐疑的な狭域参加は、茨木市、八尾、河内長野市、岸和田市など28市町村にのぼると言われています。

37市町村の内32市町村が民泊条例に不参加又は懐疑的ということですから、圧倒的に消極派の方が多いということになります。

 

「広域参加」と「狭域参加」とは

民泊条例を制定後、大阪府は各市町村が参加するかしないか、また、参加する場合は、どのような範囲で民泊を認めるか、を選択出来るようにしています。

この参加する場合の選択肢を見ていきましょう。

 

広域参加とは

広域参加とは「市街区域のうち工業専用地域を除く全地域」で民泊営業を認めるものです。

これは現行の旅館業法のホテルや旅館、簡易宿所では営業が出来ない「住宅地」特に規制の厳しい第一種低層住居専用地域でも民泊営業を認めることになりますので、かなりの規制緩和になります。

(用途地域に関しては『建築基準法の用途変更とは』で詳しくご説明しています。)

今のところ、守口市、大東市、泉佐野市、能勢町、忠岡町の5つの市町村が広域参加を予定しています。

広域参加はあまりに急に規制を緩和しすぎて、近隣住民とのトラブルを懸念して参加を見送っている市町村もあるのだと思います。

 

狭域参加とは

「市街区域のうちホテル・旅館の建築が可能な地域のみ」で民泊営業を認めるものです。

これは現行の旅館業法でのホテルや旅館、簡易宿所で営業が出来る地域と同じ地域でのみ民泊を認めるということなので、営業できる地域に関しての規制は緩和しないというやり方になります。

狭域参加を予定する市町村は、茨木・八尾・寝屋川・河内長野・岸和田・和泉・門真・箕面・富田林・羽曳野・貝塚・摂津・泉大津・柏原・藤井寺・泉南・高石・大阪狭山・四条畷・阪南市・熊取・島本・豊能・岬・河南・太子・田尻町・千早赤阪村の28市町村となっています。

大阪府民泊実施地域

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

民泊を行う為の要件としては、現時点ではこのような感じに決められていますが、このルール(民泊条例)自体は変更される可能性も十分あります。

またその変更は全体の場合もありますが、一部変更となる事もあるので十分気を付けなればいけません。

「旅館業法」という古くからある法律を遵守してきた旅館業者にとっては、いきなり「国家戦略特区は旅館業法は適用外で条例の要件を満たせばよい」なんてことになれば、今まで旅館やホテル業をされてきた方々が頑張って守ってきた旅館業法は何だったんだ、という話にもなりかねません。

そのように、なし崩し的に旅館業法適用外の特例が乱立すれば、そもそも国の法律である「旅館業法」の意味が無くなってしまいます。

そういった観点から、2016年4月に旅館業法の改定があり、さらには民泊という新しいビジネスに対しての民泊新法が制定される可能性も出てきています。

新しいビジネスモデルである「民泊」に対応するために、法整備が今後進んで行くと思われますので、定期的に関連法令のチェックをすることが重要です。

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。