欧米を中心に、個人が持つ住宅や自動車などを貸し借りする「シェアリングエコノミー」と呼ばれる新しいビジネスが急激に広がっています。
個人の住宅を他人に貸し出す仲介を行うサービス、いわゆる「民泊」もシェアリングエコノミーの代表的なビジネスです。
民泊の仲介サービスを提供するAirbnbは2008年の創設以来、急成長しているシェアリングエコノミーの代表的な会社になっています。
日本で民泊を行う場合は、旅館業法という法律で決められた許可を取る必要があります。(日本における「民泊」とはどういったものかは『民泊とは』のページで詳しくご説明していますのでご参照下さい。)
※住宅宿泊事業法(2018年6月15日施行)により、都道府県に住宅宿泊事業の届出をすれば民泊を行うことができるようになりました。
こういった新しいビジネスモデルには、法整備が追いつかないために起こるトラブルや、地域毎の生活習慣の違いによるトラブルなど、さまざまなトラブルが起こることがあります。
どういったトラブルが起こる可能性があるかを知っておくだけで、対策を取って未然に防ぐことができる場合もあります。
ここでは、「部屋を借りる人(ゲスト)」「部屋を貸す人(ホスト)」「民泊で利用される部屋の近隣住民」の3者の立場から、実際にあったトラブルをご紹介します。
部屋を借りる人(ゲスト)が経験したトラブル事例
業者ではない一般人同士の貸し借りであるAirbnbを利用した民泊は、基本的には借りる側と貸す側双方の事前のやりとりが重要になります。
日本国内の宿泊で利用する場合、「同じ日本人同士だから大丈夫だろう」とか「携帯電話の番号まで確認すると失礼にあたるかな」などと思って確認するべきところを確認しなかったりすると、思わぬトラブルが起こった時に対処出来なくなる場合もあります。
日本国内で民泊を利用した時にあったトラブルの事例を下記のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
部屋を貸した人(ホスト)が経験したトラブル事例
外国人観光客が急増している中で、宿泊施設の不足を補う形で急成長している民泊は、宿泊客が外国人であるケースがほとんどです。
外国人の場合は日本人とは考え方や生活習慣が全く異なることも多く、それがトラブルの原因となることもあります。
外国人に部屋を貸した時におこったトラブルの事例を下記のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
民泊の近隣住民が経験したトラブル事例
民泊として貸し出される部屋は、ホテル等の宿泊施設用の構造と違って、騒音などの対策がとられていないものがたくさんあります。
旅行に来ている高揚感もあり、宿泊先で大声で騒いだりして騒音トラブルが頻発しているようです。
民泊の近隣住民が遭遇したトラブルの事例を下記のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
死亡事故も・・・
2015年7月には民泊利用者と思われる観光客の死亡事故も起こっています。
2015年7月22日、渋谷区東3丁目の路上で中国籍の女児(4)が倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。
女児は母親とマンション1階のコンビニエンスストアに来ていたが、女児がぐずったため、母親はいったん女児を部屋に連れ帰り、1人でコンビニを再び訪れていた。
警視庁渋谷署などによると、母子は21日に観光目的で中国から来日。このマンションの12階の1室をホテルがわりに利用していたとみられ、女児は母親を追おうとして、ベランダの柵を乗り越え転落した可能性がある。
「この部屋はオーナーが観光客向けに貸し出していたとみられ、中国人母子が、インターネットを通じてレンタル契約を結び、東京観光の拠点としていたようだ」(捜査関係者)
こういった事故が起こった時に、違法で部屋を貸していたりすると大きな問題になりますので、民泊ビジネスを始めるには法令を遵守して正しく始めることが重要です。
海外での民泊トラブル
海外でも宿泊仲介サイトを利用した宿泊施設でのトラブルが起こっています。
2015年11月に発生したパリ同時多発テロの犯行グループは、知人を介して借りたアパートに潜伏していたのではないかと言われています。(詳しくは『フランスのパリ市で違法民宿の取り締まり強化』をご参照下さい。)
また、同じくパリで、airbnbに登録されていた宿泊施設で腐乱死体が発見されたというニュースもあります。(『airbnb民泊先に腐乱遺体』をご参照下さい。)
盗撮トラブル
2015年にアメリカのカリフォルニア州で3週間の休暇を過ごすために、Airbnbで予約したアパートの1室に宿泊したドイツ人カップル。
宿泊を始めてしばらくした後にリビングルームの本棚の後ろにあったリモート制御が可能な高性能カメラ(広角レンズ付き)に気付いてホストの盗撮が発覚しました。
この女性は、裸のまま室内を移動したり眠ったりしたこともあり、その姿が盗撮されていた可能性も高いということです。
違法民泊の摘発例
インターネットの仲介サイトに掲載する民泊はグレーゾーンとして放置されていましたが、2015年頃から違法民泊として検挙される例が出てきています。
2015年11月には京都府で旅館業法違反(無許可営業)の疑いで、東京都千代田区の旅行会社顧問の男性と、山形市の旅館業者役員の男性が書類送検されました。
2016年4月には大阪府で初めて違法民泊の摘発がありました。
大阪府の摘発に関しましては『無許可民泊、1200万円売り上げか「なんでうちの店だけ!?」』のページで詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。
民泊の問題点と今後の課題
現時点では民泊に対する法整備が追いつかず、さまざまな法律上の課題があります。
政府としても、新しい民泊サービスのルール作りを進めています。(『そろそろ見えてきた!?民泊サービスのルールの方向性』)
旅館業法、建築基準法、消防法など宿泊者の安全を確保するためにも必要な法律をどこまで緩和するのかが大きな焦点となっています。
詳しくは『民泊の問題点と今後の課題』でご説明していますので、是非ご参照下さい。
※住宅宿泊事業法(2018年6月15日施行)により、都道府県に住宅宿泊事業の届出をすれば民泊を行うことができるようになりました。