民泊条例に対する住民の意見

[記事公開日]2016/02/24
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民泊条例に対する住民の意見

地方自治体などの行政機関が条例を等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表して、自治体の住民から意見や情報を募集する制度を「パブリックコメント制度(意見公募手続)」と言います。

民泊条例を制定する際にも各自治体は、このパブリックコメント制度を実施しています。

今回は意見公募で寄せられた意見の一部をご紹介したいと思います。

 

治安・責任の所在に関する懸念

また、ホテルや旅館であれば経営者が明白なので、事故や事件があった場合の責任者も明白ですが、民泊の場合は、近隣住民には部屋の所有者が誰か分からないという場合もありますので、責任の所在に関しては懸念の声も上がっています。

 

行政(大田区)に対する質問1

  • 不法滞在者の滞在施設として利用されないかが心配です。
  • テロ対策のため、効果的な宿泊者管理をしてほしい。
  • 窃盗団や強盗団の拠点とならないように、7 日以上の複数人の宿泊者に対しては、滞在地期間中、少なくとも 1 回は公安委員会による立入検査を行うべきである。

 

行政の回答1

事業実施に当たっては、施設における違法な行為の防止の観点から、滞在者名簿を備え旅券を確認すること、滞在者の挙動に不審な点が見られる場合や法令に違反する行為が疑われる場合には最寄りの警察署に通報すること等を、認定事業者に対し指導してまいります。

 

質問と回答に関する所感

質問と回答の要約やはり近隣住民の方々にとっては治安悪化に対する不安は非常に大きいようです。

滞在者名簿を備えることや、旅券の確認は最低限必要なことだと思いますが、それ以上の防犯をどうやって担保していくかが今後課題として残るのではないかと思います。

特に防犯対策は各自治体個々で対応するのは限界があると思いますので、国との連携で何か対策を立てていく必要もあるのかもしれません。

 

 

行政(大田区)に対する質問2

また貸しによって責任の所在が不明確になる事態を予め防ぐために、非居住者および外国法人による経営を排除し、裁判の管轄は物件所在地である日本国内にあることを文書において明示することを義務づけるべきである。

 

行政の回答2

特区法上、非居住者や外国法人を経営から排除することは出来ないこととなっております。

 

質問と回答に関する所感

質問と回答の要約最近中国からの投資物件をインターネット仲介で貸し出しているというニュースもありますが、この意見は、海外に住んでいて物件だけ購入して民泊として貸し出している場合、不測の事態が起こると誰が責任をとってくれるのか心配だという意見です。

これに対して特区法の決まりで日本に住んでいないからといって排除することは出来ないという回答でした。

「外国法人であるから」「日本に住んでいないから」などといった条件は差別となる可能性もありますので、要件として入れる事は出来ない場合もあります。

日本に住んでいない方でも、きちんと法令を遵守した運営をされていれば全く問題ありませんので、法令を遵守されるためにはどうすればよいかを考えていく必要があるのだと思います。

 

条例の法的拘束力に関する懸念

民泊条例には違反した場合の罰則がありません。

その点で、近隣住民の方々が「罰則が無いのに、条例を守るの?」という懸念を抱かれています。

 

行政(大田区)に対する質問1

民泊条例に対する意見公募刑事罰や拘束力がないと条例ではないでしょうか。

所詮、地方自治体の条例だと思われているでしょう。

私としては、条例違反者は地方自治法 14 条 行政刑罰の禁固刑に処すのが妥当だと思います。

何故なら、この条例は全国の自治体が参考にする事例になることは間違いないのです。

日本の自治体の先駆けとなる条例なんですから手本になる条例を制定しましょう。

「民間に広く開放します。でも違反者には相応の制裁を科す」とはっきり明言すべきです。

 

行政(大田区)に対する質問2

民泊条例に対する意見公募条例が施行された場合、すでに民泊を運営している事業者は届出なければ罰則を科されるのでしょうか?

罰則を科さなければ、届け出るメリットが見当たらず、行政に介入されるデメリットしかないので、今までどおり無届けで運営するのではないでしょうか。

区に届け出るメリットをお教えください。

 

行政の回答

本事業は外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づき一定期間以上使用させるとともに外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する事業で、事業者が認定を受けることで旅館業法の適用を除外されるというものです。

施設の滞在に必要な役務の提供が適切になされていない場合、その結果として利用者の平穏な滞在に支障が生じるに至った場合などには、認定を取り消し得ることとされています。

認定を取り消されてもなお、同様の事業を継続する場合は旅館業法等の罰則を受ける可能性があります。

 

質問と回答に関する所感

質問と回答の要約質問は「罰則を科した方がいいのでは?」というものと「罰則がなければ無届けで営業した方が良いと考える人が多いのでは?」というものです。

確かにそうですよね。今はグレーゾーンと言われながらも営業をしているのに、罰則も無いのにわざわざ寝た子を起こすようなことをして、営業出来なくなったら大変ですから。

それに対して、行政の回答は「民泊条例は条例で定めた要件を満たすことで旅館業法の適用を除外されるもの」というものです。

つまり、民泊条例の要件を満たせなければ、旅館業法が適用されるので、旅館業法の要件を満たさずに民泊ビジネスをしていると「旅館業法違反で罰則をうける可能性がある」ということです。

旅館業法の罰則は第10条1項で「6ヶ月以下の懲役又は三万円以下の罰金」とされています。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

今回ご紹介したもの以外にも、たくさんの質問や意見が寄せられています。

特に治安悪化の対策への関心は高いようです。

民泊条例自体に罰則が無いことに懸念を抱かれている方も多いようですが、民泊条例の要件に合わない場合は、旅館業法適用外という特例を受けられないということになりますので、結局は今まで通り旅館業法が適用されます。

決して罰則が無いから届出をしなくても民泊ビジネスをしても大丈夫というようなことはありません

旅館業法に抵触する場合は懲役又は罰金といった罰則がありますので、ご注意下さい。

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。