民泊には都会の観光客向けの都市型民泊と田舎での体験型民泊があります。
体験型民泊(民宿)はグリーンツーリズムとも呼ばれています。
今回は体験型民泊である「農家民泊・民宿」であるグリーンツーリズムとは、また、農家民泊や農家民宿とはどういったものなのかをわかりやすくご説明したいと思います。
グリーンツーリズムとは
グリーンツーリズムとは、自治体のパンフレットなどを見ると「農山漁村などに長く滞在し、農林漁業体験やその地域の自然や文化に触れ、地元の人々との交流を楽しむ旅」と定義されています。
グリーンツーリズムの醍醐味は「体験」にあります。
湯治のように長く滞在して何もせず治療のためにゆっくり過ごすという旅のスタイルは昔からありますが、都会や海外から来た人が日本の田舎に滞在して、地元の人と触れ合いながら田舎生活を体験するというスタイルは新しい旅のスタイルだと言えます。
田舎体験プログラムの例
体験プログラムには作ったものを食べたり、自然の中で遊んだり、農林漁業などの仕事を体験したりと、いろいろなプログラムがあります。
以下に、体験プログラムの一部をご紹介します。
食体験
- 山菜採り
- お茶摘み
- こんにゃく作り
- 梅ジュース・梅干し作り
- 栗拾い
- 焼き芋
- 干し柿作り
- 餅つき
- 味噌作り
自然体験
- 里山散策
- 川遊び
- 星空観察
- クワガタ採り
- 紅葉狩り
- キノコ狩り
- 雪遊び
農林漁業体験
- 田植え
- 野菜・果物の収穫
- 魚釣り
- 稲刈り
- 芋掘り
- 林の間伐
- 炭焼き
「農家民宿」と「農家民泊」の違い
農家民宿と農家民泊は同じようなイメージを受けますが、実は大きな違いがあります。
それでは、どのような点が異なるのかをみていきましょう。
農家民宿とは
「民宿」とは、反復継続して有償で宿泊施設を提供する(営業行為)もので、旅館業法に基づく「簡易宿所営業」の許可が必要になります。
つまり営利目的で繰り返し宿泊施設を提供する場合は旅館業の許可が必要になるのです。
「農家民宿」は、「民宿」の形態の一つで「農林漁業体験民宿」として3つに区分されています。
農家民宿(大規模)
大規模農家民宿経営者が農林漁業者で、農林漁業体験を提供する、客室延床面積33㎡以上の民宿を指します。
農家民宿(小規模)
小規模農家民宿経営者が農林漁業者で、農林漁業体験を提供する、客室延床面積33㎡未満の民宿を指します。
簡易宿所の営業をするには客室延床面積33㎡が必要ですが、小規模農家民宿の場合、旅館業法の広さ条件が緩和されるので、一般的な民宿に比べて開業しやすいという特徴があります。
体験民宿
体験民宿とは農林漁業者ではない経営者が農林漁業を提供する、客室延床面積33㎡以上の民宿を指します。
農家民泊とは
一般的に言われている「農家民泊」は、農家の方だけではなく農林漁家の方たちも含んだ方たちが運営する民泊のことで、正式には「農家等民泊」と言います。
「民宿」が反復継続して有償で宿泊施設を提供する(営業行為)のに対して、民泊は基本的には「宿泊料に当たる代金は徴収しない」ものです。(食事代や体験指導の対価は受け取れます)
つまり、農家等民泊は、田舎暮らし体験したい人のために、非営利で自分たちの生活の場を提供するものだといえます。
「民泊」という言葉のイメージ
このように「民宿」を営業する方が旅館業の許可が必要であるためにハードルが高いのです。
しかし、「民泊」という言葉が流行して認知度が高まったことと、民宿と民泊が言葉の意味でも区別が付き難いなどの理由から、旅館業の許可をとった「民宿」であっても「民泊」と名乗っているケースもあります。
まとめ
旅館業の許可をとっている「民宿」が「民泊」を名乗る事に大きな問題は無いのかもしれませんが、「民泊」と「民宿」の境界線を曖昧にしてしまうのは非常に危険だと思います。
「農家民泊」は旅館業の許可が要りませんが、「反復継続して有償で宿泊施設を提供することはできない」という点を無視して、「許可はないけど民泊だからOK」という考えから「民宿も民泊も違いはないから許可無しで営利行為もOK」と認識してしまう人も出てきてしまうのではないでしょうか。
特に、都市型民泊への規制緩和を進めている中で、ますます旅館業の許可が必要なケースと不要なケースの境界線が曖昧になる可能性があるので、きちんとした線引きと周知徹底をするようにして頂きたいと思います。