「収入印紙」という言葉は聞いた事があるという方は多いと思います。
でも実際に「印紙って何に使うの?」と聞かれると、「何だろう?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
収入印紙は「印紙税」という法律で決められた文書(課税文書)に貼り付けるかたちで納税するためのものです。
民泊を始める際に物件を購入する際に、作成する書類によって印紙税を支払う必要があります。
このページでは「印紙税」に関して判りやすくご説明したいと思います。
※租税特別措置法の一部改正により、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに作成されるものについて「印紙税 第1号文書」の金額より印紙税の軽減措置が適用されます。
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
印紙税って、どうゆう税金?
そもそも、なぜ文書を作成するだけで税金を納めなければいけないのでしょうか。
契約書や領収書のような書類を作成すると、「取引したという事実」が明確になり、買主が誰で売主が誰といった具合に「法律関係が安定」しますよね。
で、法律関係が安定すると、そういった何かあった時に国が定めた法律のおかげで問題が解決しやすくなるなど、文書の当事者にメリットがあるので、その文書に課税します、というような話しのようです。(参議院国家答弁を私なりに解釈してみましたので、少し違うかもしれません)
課税される文書って、どんな文書?
印紙税の課税対象となっている文書には20種類の文書があります。(20種類の中でも非課税文書という課税されない文書もあります)
その中でも不動産投資に関係するのは主には以下の文書です。
印紙税 第1号文書
不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書、土地賃貸借契約書、賃料変更契約書といった書類が第1号文書になります。
印紙税額は以下のようになります。
記載された契約金額が
- 1万円未満 非課税
- 10万円以下 200円
- 10万円を超え50万円以下 400円
- 50万円を超え100万円以下 1千円
- 100万円を超え500万円以下 2千円
- 500万円を超え1千万円以下 1万円
- 1千万円を超え5千万円以下 2万円
- 5千万円を超え1億円以下 6万円
- 1億円を超え5億円以下 10万円
- 5億円を超え10億円以下 20万円
- 10億円を超え50億円以下 40万円
- 50億円を超えるもの 60万円
- 契約金額の記載のないもの 200円
売買金額等から見るとたいした金額ではないように見えますが、不動産売買の場合、数万円から数十万円かかりますから、結構な金額ですよね。
印紙税 第17号文書
不動産投資に関係する17号文書は「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」と呼ばれるもので、いわゆる「領収書」です。不動産の賃貸料の受取書などが該当します。
印紙税額は以下の通りです。
記載された受取金額が
- 5万円未満 非課税
- 100万円以下 200円
- 100万円を超え200万円以下 400円
- 200万円を超え300万円以下 600円
- 300万円を超え500万円以下 1千円
- 500万円を超え1千万円以下 2千円
- 1千万円を超え2千万円以下 4千円
- 2千万円を超え3千万円以下 6千円
- 3千万円を超え5千万円以下 1万円
- 5千万円を超え1億円以下 2万円
- 1億円を超え2億円以下 4万円
- 2億円を超え3億円以下 6万円
- 3億円を超え5億円以下 10万円
- 5億円を超え10億円以下 15万円
- 10億円を超えるもの 20万円
- 受取金額の記載のないもの 200円
- 営業に関しないもの 非課税
印紙税って、誰が納税するの?
「印紙税は、課税文書の作成者に納付義務がある」とされていますが、文書を実際に作成した人ではないのです。ここで言う「作成者」とは、実際に文書を書いた人のことではなく、その文書によって権利関係が証明されている当事者のことをいいます。
ややこしいですよね。でも、実例で聞いてみると、「なんだ当たり前じゃん」と思われると思います。
例えば、法人の従業員がその法人の財産に関して文書を作成したとしますよね。その文書については、その文章を作成した従業員個人が作成者(納税義務者)ではなく、その法人が作成者(納税義務者)になるということなんです。
そりゃ、当たり前ですよね。従業員が文書を作成した時にその従業員に納税義務があったら、会社の仕事で印紙税課税文書を誰も書きたがらなくなっちゃいますよね。
委任に基づく代理人が作成する課税文書についても決められています。これは代理人名義で作成する場合は代理人が作成者となり、委任者の名義のみが記載されている場合は、その委任者が作成者となります。
例えば、物件売買の委託を受けた不動産業者が文書を作成する場合、委任した人の名前と一緒に代理人(不動産業者)の名義で作成する課税文書は、代理人が作成者になりますが、委任した人の名前だけ記載されている場合は委任者が作成者となり、委任者に納税義務があります。
つまり、先程も書きましたが「文書によって権利関係が証明される人」が納税義務者となるのです。
印紙って、どう貼るの?
印紙は、単に貼り付けただけでは納付したことになりません。
収入印紙と文書にかけて印章または署名で「消印」をしなければなりません。
収入印紙の消印は、その文書の作成者がすることになっていますので、例えば売主と買主双方が署名捺印している契約書であれば、売主と買主双方が消印するのが理想ですが、どちらか一人の消印でも問題ありません。(消印は再使用防止のためにするものなので)
印紙を貼らなかったら、どうなるの?
印紙税の課税文書に印紙を貼っていない場合、過怠税が課されます。
過怠税は本来貼るべき印紙税額とその2倍に相当する金額の罰金がかかります。つまり、本来かかる印紙税額+2倍の印紙税額なので、約3倍の額を納めなければいけなくなります。
例えば6000万円の物件の売買契約書に印紙を貼らなかった場合、文書のためだけに6万円の3倍の18万円も支払うことになりますので、十分気を付けて下さい。
但し、印紙が貼っていない場合は印紙税法の罰則があるだけで、文書の効力が無効になるわけではありませんので、この点も覚えておいて下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
印紙税って、所得税や固定資産税などの税金と比べると地味で、不動産投資に興味をもたれた方にとっても馴染みは薄い税金かもしれません。
しかし、貼らなかった場合に罰則がありますので、もし印紙税を貼るべき文書なのかご自身で判断出来ない場合は、ネットなどの情報で判断するのではなく、最寄りの税務署へ問い合わせをされるのが良いかと思います。