「民泊サービス」のあり方に関する検討会

[記事公開日]2016/01/17
[最終更新日]2016/01/20
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民泊に関しては旅館業法という法律と外国人観光客の増加で宿泊施設が不足しているという現状の間で法整備が進められています。

今回は今までの流れと今後の予定に関してご説明したいと思います。

 

民泊サービスの規制改革の流れ

まずは平成 27 年 6 月に「民泊サービス」については、幅広い観点から検討した上で平成 28 年に結論を出すということになりました。

10 月 15 日の会議で、安倍総理大臣が「民泊サービスの規制を改革していく、国家戦略特区の先行事例を踏まえ、特区諮問会議と連携しながら突破口を開いていただきたい」旨の発言をされたことからも、民泊サービスの規制の改革が進むものと思われます。

10 月 29 日、11 月 9 日、11月 25 日、12 月 9 日と 4 回にわたって、関連規制の関係者(関係省庁、有識者、事業者、関係業界)からヒアリングをした後、12 月 21 日には「民泊サービス
の推進に関する意見」について決定・公表がありました。

「民泊サービスの推進に関する意見」の概要

「民泊サービスの推進に関する意見」は以下のような内容になっています。

  • 関係省庁における検討のスピードアップ
  • 民泊サービス推進に当たっての課題への取組(一定の民泊サービスについては旅館業法の適用除外とした上で必要な規制を新たに行うことも含む抜本的な対応の検討、サービス提供者・仲介事業者に対する規制について幅広く検討、規制の適切な執行体制の確保)
  • このほか、外部不経済への対応など様々な課題への対応策を的確に盛り込んだ上で、民泊サービスの拡大に向け段階的な取組も含む大胆な検討

 

「民泊サービス」規制改革検討に関する意見

現在、検討会では下記のような意見が出ています。

・ 民泊を利用する側、民泊を提供する側、近隣住民の安全確保、及び社会への影響を検討すべき。
・ 非合法な民泊サービスにより被害を受けた旅行者に対して、法的にどのような保証をすべきか。事後的にでも保護していくシステムが必要。
・ 契約主体など責任の所在を明確にして消費者を安全にする制度にすべき。
・ 基礎自治体が最後は対応しなければならないので、ごみや騒音等のトラブルについて、議論が必要。
・ 近隣住民とのトラブル事例を放置しないために、規制強化という観点から見ても、スピード感を持って改革すべき。
・ (想定される民泊活用物件の類型として)4類型で整理するのはとても合理的。
・ 諸外国の規制が強化されている中で、オリンピックを控えて、テロの温床になるような施設ができる可能性を一つずつ潰していくのが筋ではないか。
・ 何かひとたび事があると多くの方の生命・身体に大きな影響があるから規制が設けられていることを考えると、一足飛びに何でもやれば良いということではなく、少しずつ進めていくべきではないか。
・ テロ対策、感染症対策のため、対面での本人確認が必須である。
・ 宿泊場所を提供することのみでは、お客様の安心・安全を守ることはできない。宿泊者・利用者の安全・安心の観点と近隣住民の日常生活に不安や不満が生じることのないよう、適切な措置が講じられるべき。
・ 何らかの事件が起きた場合の責任の所在を明確にすべき。
・ 空室が活用されるのは歓迎するが、又貸しはルール化されるべきであり、また、鍵が拡散することによる危険性も懸念している。
・ 民泊を可能とするため、使い勝手のよいルールとすべきであると同時に、違法行為を取り締まるためのルール整備も必要。緩和と強化をセットで考えることが必要。
・ 生活者側に立つと、マンションの住民にとって不安が大きい。管理規約が守られるような制度化が必要。
・ 規制を緩和することにより消費者のリスクを増やしてはいけない。
・ 民泊問題の課題解決のため、現行法遵守の観点からプラットフォーマーへの規制を行うとともに、合理性ある規制改革を行うべき。

これらの規制改革にあたっての基本的な意見の他に、旅館業法や建築基準法などの各法律に対する意見も出ています。

 

旅館業法との関係

民泊の規制改革においては、この旅館業法との関係が最も重要になると思います。

検討会では下記のような意見が出ています。

・利用者の健康被害の防止及び感染症予防の観点や、施設や寝具類の衛生確保、飲み水や浴槽水の管理という視点での規制に係る議論が必要。
・ 本人確認等の措置により、健全な旅館運営がなされてきているため、営業者による利用者の本人確認を担保すべき。
・ イコールフッティングの観点から、旅館業法でいう旅館・ホテルと民泊との違いや、旅館業法に基づく規制の趣旨(公衆衛生、治安維持)について議論すべき。
・ 簡易宿所の営業許可を取得することにより、民泊は対応されるべき。
・ プライマリーレジデンスとそれ以外で異なるルールが設定されるべきではないか。
・ ホームシェアを新たなサービスと位置付け、ホスト及びプラットフォームの双方に一定の対応を求めることをルール化することにより、ホストについて旅館業法の適用を受けないようにできないか。
・ 自分の家を時々短期で貸すホストには、1年365日商業的に運営している営業者とは異なる新たな規制モデルが適用されるべきではないか。
・ 自宅の一部を活用するケースは、簡易宿所としても許可を取るのはなかなか難しいのではないか。別の考えで行うべきではないか。それ以外のケースは、業として行うということでよいのではないか。
・ 既存の業法を緩和する余地もあるのではないか。短期的に結論を出すもの、中長期的に考えるものと分けた議論が必要ではないか。
・ 旅館業法に組み込むかどうかがひとつの焦点。家主居住の場合、旅館業法に組み込むとすれば、用途地域の問題が出てくる。家主不在の場合は、簡易宿所の枠組みで対応するのが現実的。
・ 家主居住のホームステイのケースでは、利用者がごく少数のため、旅館業法を適用する必要はないのではないか。
・ 家主がいる・いないで議論するのは適当だが、家主がいる場合でも、反復継続する以上、旅館業法を適用しなくてよいかについては、よく議論した方がよい。
・ 泊める人が少数であっても、責任は事業者に及ぶ。事業者には、安全性確保のためにコストがかかることを含め、その自覚が必要。ビジネスでやるのであれば、きちんと許
可をとるべき。
・ 簡易宿所の面積基準(33㎡)は、民泊のようなケースに適用するには合理性がないのではないか。

 

まとめ

今回ご紹介した意見以外にも、さまざまな観点からの意見が出されていて、新しいビジネスモデルに対して法整備がどれだけ大変かという事を感じます。

意見にも出ていますように、きちんとした法整備がなされていない無秩序な状態だと、感染症の危険や犯罪の温床になったりして、せっかくの新しいビジネスモデルが崩壊してしまう可能性もあるのではないかと思います。

きちんと法整備されて、「民泊サービス」という新しいビジネスが成長出来るようになるのを期待しています。

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。