空き家を利用した民泊ビジネス

[記事公開日]2016/01/17
[最終更新日]2016/03/21
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空き家ビジネス

最近、空き家が増えているという話を聞かれた事は無いでしょうか。

その大半は放置されている状態で、倒壊の危険や不審者のたまり場になる可能性があったりと「危険な空き家」と言われているものもあります。

そのため、国は危険な空き家を減らすための法整備を進めるなどの動きがあります。

そのような状況の中、「民泊ビジネスは空き家問題を解決する一石二鳥のビジネスだ!」とも言われています。

確かに年々増え続ける空き家問題も深刻になってきていますので、民泊利用で少しでも解決が出来るのであれば、非常にメリットがあると言えると思います。

ただ、空き家が増え続けているのは、それ相応の原因があるからなのです。

今回は、空き家を購入して民泊ビジネスを始めてみようと思われている方が気をつけなければいけないポイントを分かりやすくご説明したいと思います。

 

空き家の現状

平成25年時点で、全国の空き家数は約820万戸あると言われています。

総務省から下記のようなデータが出されています。

総住宅数は6063万戸と5.3%の上昇,空き家率は13.5%と過去最高

平成25年10月1日現在における我が国の総住宅数は6063万戸で,5年前と比較すると,304万戸の増加で,増加率は5.3%となりました。平成10年からの15年間では総住宅数が1000万戸以上増加しています。

住宅のうち空き家についてみると,空き家数は820万戸となり,5年前に比べて63万戸(8.3%)増加しました。空き家率(総住宅数に占める割合)は,平成10年に初めて1割を超えて11.5%となり,平成25年には13.5%と,20年に比べ0.4ポイント上昇し,空き家数,空き家率共に過去最高となりました。

別荘等の二次的住宅数は41万戸で,二次的住宅を除く空き家率は12.8%となりました。

空き家の推移平成25年

そういった空き家が放置されて倒壊の危険があるために「空き家対策特別措置法」という法律が作られました。

この法律は、「危険な空き家」と指定された「特定空き家」の所有者に管理を促し、指導に従わない場合は「更地の6分の1だった固定資産税の税率を更地と同様にする」というもので、所有者にとってはかなり大きな負担になります。

空き家対策特別措置法に関しましては、『空き家対策特別措置法って、どんな法律?』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

空き家対策特別措置法って、どんな法律?

 

何故、空き家が増えるのか?

空き家が増える原因として、もっとも大きな原因は「相続」です。

まずは、先程の空き家数の統計と同じ平成25年の総務省の年齢別持ち家率のデータを見てみて下さい。

持ち家率データ

このデータによると、70歳以上場合、8割以上の方が自分の家を所有していることになります。

さらにその70歳以上の夫婦の子供の年齢である45歳以上の方は62.7%の方が自分の家を持っているというデータになっています。

つまり60%以上のすでに自分の家がある人が両親が亡くなって実家を相続した場合、「自分の住む家はもうあるから、とりあえず相続した家はおいておこう」となる可能性が高いのです。

更に今後少子化が進み、持ち家のある一人っ子同士の夫婦が、お互いの両親の家を相続すると、2軒の空き家が生まれてくることになります。

また、まだマイホームを購入していない残りの4割弱の人達も、「実家に住むのは不便で都会の駅近の賃貸の方が良いから、相続した実家はとりあえずおいておこう」という人も少なくないと思います。

相続した家を売らない理由は、子供の頃の思い出がある、取り壊すのにお金がかかる、会社に通えない、立地が悪くて買い手が無い、面倒なのでとりあえずおいておく等々いろいろな理由があると思います。

相続した家を賃貸しない理由は、立ち退きの交渉が面倒なことや賃貸するために不動産会社とやりとりするのが面倒といった理由が挙げられています。

そういったいろいろな理由でとりあえずおいておく家が増えていることが、空き家が増えている原因の一つになっているのです。

 

外国人観光客の増加

外国人観光客東日本大震災を機に一時期は減少傾向にあった外国人宿泊者数も、年々増加しています。

勿論宿泊施設を作る事が出来れば何も問題は有りませんが、なかなかそうもいかないのが現状です。

大規模なホテルなどは用地を用意する必要がある事、さらにその建設にも多額の資金が必要となるだけでなく、時間もある程度は必要です。

その為、直ぐに建物を建ててホテル経営を行うという事は出来ません。

そこで注目を集めているのが「民泊」です。

特に空き家を利用する方法であれば、新たに建物を建てる必要が無いのですぐにでも宿泊者を迎え入れる事も可能となります。

 

法律上の課題

そうは言っても、空き家をすぐに民泊利用することは出来ません。

法律のグレーゾーン民泊とは簡単に言えば民家に泊まる事を指すので、臨時で知り合いや友達を家に泊めるような事が民泊になります。

ただ、サイトで募集して外国人観光客を繰り返し有償で泊めるような行為は法律上の「民泊」には該当しません。これは「旅館業」に該当します。

「民泊」というと「民宿」と似ていると思われる人もいるかもしれませんが、反復継続して有償で部屋を提供しているかという点が違いになります。(民泊と民宿の違いは『民泊とは』のページで詳しくご説明しています。)

「民宿」は反復継続して有償で宿泊施設を提供するので、旅館業法の規制を受けますが、法律上の「民泊」はたまたま友達や知り合いを泊めてあげるだけで、繰り返し有償で泊めるという事ではないので、泊めてあげた人から謝礼を受け取ったとしても旅館業法の規制を受けません。(旅館業法に関しては『旅館業法とは』をご参照下さい。)

「民泊」という名前を使っているため、現在のAirbnbをはじめとするネット仲介の「民泊」がグレーゾーンだという風に表現される事もありますが、厚生省の資料(「第49回規制改革会議リアリング資料」1ページ目 民泊に関する議論の背景 課題の欄)では「Airbnbなどの仲介サイトを通じて反復継続して有償で部屋を提供するものは許可が必要」と明記されています。(旅館業法の適用が無い民泊ビジネスは、国家戦略特区で民泊に関する条例が制定されているところに限り行う事が出来ます。詳しくは『民泊条例とは』をご参照下さい。)

それでは、「旅館業法違反なので、旅館業登録をして下さい」となるのかもしれませんが、上述しましたように、外国人観光客の急激な増加による宿泊施設の不足という問題を解決する方法として、「民泊」は非常に有効なので、これからどのように法整備を進めていくかという段階にいます。

従って現在ではビジネスとしてもとても注目を集めている方法とは言えますが、まだ確実に成立しているという程ではないという事が言えます。

 

空き家の転貸の課題

また賃貸物件なのか自己所有の物件を利用するのかという事によってもルールは変わって来ます。

空き家は今までの思いでがあって売却出来ないという理由や、固定資産税の優遇があるのでそのままおいておきたいといった理由のように、売却を予定していないケースの方が多いのが現状です。

その場合、空き家を活用するとなると、賃貸契約で借りた空き家を民泊用に貸し出すようなかたちになります。

NG空き家を借りて転貸する場合は持ち主の許可が必要です。

もし、許可無しで転貸した場合は民法違反になります。

空き家ではありませんが、UR住宅を賃貸した人が内緒でAirbnbに登録して「隠れ民泊」を行っていたというニュースもあります。(『UR住宅が「隠れ民泊」に?』をご参照下さい。)

UR都市機構は、UR物件の民泊利用はNGということを明言していますので、UR住宅での民泊利用は明らかに違法行為になります。

このように、民泊ビジネスを始める上では、関連する法律を理解することが非常に重要となります。

民泊を始める際の関係法令に関しては『民泊の始め方』でも詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

民泊の許可申請方法を全解説します!【旅館業許可申請編】

 

設備の整備の課題

旅館業登録又は民泊特区で民泊申請する場合でも、消防設備の設置は義務付けられています。(詳しくは『民泊に必要な消防設備』をご参照下さい。)

また、空き家を利用する場合、ある程度部屋をきれいにするためのリフォームも必要になる場合があります。

そういった消防設備の設置やリフォームに掛けた費用を民泊ビジネスで回収できるかの試算も必要です。

勿論改修などは必要ない場合もありますが、ある程度きれいにするという事は必要でしょう。

民泊に必要な消防用設備

 

家屋の構造の課題

民泊物件を選ぶ場合、立地は当然ですが、それ以外に「用途地域」「検査済証の有無」「接道状況」「建ぺい率」「容積率」「耐震構造」といった点も違法建築になっていないかを確認する必要があります。

建築当時は違法ではなかったものでも、現在の建築基準法では違法になっているものもあります。これを「既存不適格建築物」と呼びます。

既存不適格建築物は建て替えが出来なかったり、出来ても既存の建物より小さな建物しか建てられないという場合があります。

既存不適格建築物は、購入する際に銀行の融資が受けられない場合が多いことも、購入の障害の一つとなっています。

詳細に関しましては『民泊物件の選び方』でご説明しておりますので、是非ご参照下さい。

民泊用物件の選び方

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

「民泊」といえば、誰かを泊めてあげる、空いている部屋を貸してあげるという風に簡単に考えている方もいらっしゃると思うのですが、ビジネスと考える場合はいろいろな点をクリアにしておく必要があります。

法律にしても旅館業法だけではなく、民法、建築基準法、都市計画法、消防法などいろいろな法律の観点からしっかりと考える事が、民泊をビジネスをおこなう上で重要となります。

今後も海外からの宿泊希望者は増加していく事は容易に予想されます。

世界各国から様々な人が訪れる事になるので、その人たちが宿泊できるスペース、施設の確保というのはとても重要なポイントになると言えます。

空き家を有効活用する事が出来る、宿泊者の飽和状態を改善する事が出来るという点からも、とてもメリットがある非常に将来有望なビジネスモデルであるともいえます。

ただ、現在過渡期にある関係する法の改正についても知っておく事がこのビジネスを成長させる為には絶対に必要だと言えます。

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。