UR住宅が「隠れ民泊」に?

[記事公開日]2016/02/25
[最終更新日]2016/02/26
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UR住宅で隠れ民泊

UR住宅が隠れ民泊に利用されている可能性があるというニュースがありました。

昨年から大家に許可を取らずに借りた部屋を別の人に又貸しする「転貸」による違法な民泊が問題になっていますが、公的資金で出資されているURの部屋を違法に民泊に使用しているというニュースはかなりインパクトがありました。

 

「UR」が「隠れ民泊」に

「隠れ民泊」とは

「隠れ民泊」という固有名詞は、このニュースで聞くまで耳にした事はありませんでした。

旅館業法又は民泊条例の許可を受けていないで隠れて営業している民泊を指しているのだと思います。

許可を受けていない民泊施設は、「違法民泊」「無許可民泊」「脱法民泊」「ヤミ民泊」など、いろいろな言葉で表現されていましたが、それらに比べると「隠れ民泊」はかなり柔らかい表現のように感じますね。

今後、この「隠れ民泊」という言葉が一般化するのかもしれません。

許可を取って営業する民泊に関しましては『民泊とは』をご参照下さい。

 

UR都市住宅機構とは

UR都市住宅機構は75万戸の物件をかかえる、国土交通省所管の中期目標管理法人である独立行政法人です。(前身は日本住宅公団)

居住者は約200万人で、「世界最大の大家」とも言われています。

公的資金が投入されているので安心な点と、「礼金不要」「保証人不要」「更新料不要」の上に、立地も好条件のところが多いことために非常に人気があります。

URとしてはUR住宅の民泊利用は禁止しているとのことですが、実際に都内のあるURで民泊が行われている可能性があるというニュースでした。

 

AirbnbへURの部屋を登録

以前、UR住宅の住民の方が、一緒にエレベーターに乗ってきたスーツケースを持った外国人に「Airbnbを使ったんですか?」と聞いたら「そうです」と答えられたそうです。

で、その住民の方がAirbnbのサイトで調べたら、自分の部屋と全く同じ間取りの部屋の写真が掲載されている貸し出し物件を見つけたということです。

その住民の方からの情報をもとに今回の取材をされたようです。

 

宿泊者へのインタビュー

ニュースでは、そのURの部屋に宿泊していた観光客の方の映像やインタービューが出ていました。

20代と見られるタイから来られていた3人の若い女性の方でした。

 

ゴミ出し

実際に宿泊していたタイからの観光客の方3人がゴミ袋を持って部屋から出てきたところの映像が流されていました。

1階のURのゴミ集積場に捨てようとしているのですが、どうやって捨てて良いのか分からず困っている感じでした。

民泊条例では「外国語の案内の設置」が義務付けられていますが、そういった案内を読まなかったのか、そもそもゴミの出し方の案内のようなものは部屋に無かったのか、詳しく書かれていなかったのかもしれません。

映像で見た感じでは、宿泊客の方は「きちんとゴミを捨てたいけど、どうやって捨てればいいか分からない」というように見えました。

 

部屋の所有者

ニュースでは、その部屋を以前借りた人のレビューで「もし他の住民に聞かれたら『友達もしくは家族』と答えなければならない」という裏ルールが書かれていたことも紹介されていました。

インタビューアーが「どうやって部屋を予約したのですか」と聞いたところ、レビューに書かれていたのと同じ「友達の部屋です」と回答されていました。

 

宿泊期間

また、「宿泊期間は?」という質問には「7日」と回答されていました。

確かに民泊条例では7日以上の滞在は条件となっていますが、それは特区民泊として認定される条件であって、無許可営業している民泊は何泊泊めようが違法なんです。(民泊条例に関しては『民泊条例とは』をご参照下さい)

厚生省の資料(「第49回規制改革会議リアリング資料」1ページ目 民泊に関する議論の背景 課題の欄)に「こうしたサイト(Airbnbなどの仲介サイト)を通じて反復継続して有償で部屋を提供するものは許可が必要」と明記されています。

 

UR住宅は民泊NG

NG本来、URでは民泊は認められていません。

ですから、借り主が無断で民泊営業している可能性があるということです。

今回の取材に対して、URは「民泊とみられる住戸が確認できた場合は、契約解除予告などを行う等して、契約の適正化に努めているところです。」と回答されています。

つまり「UR住宅は民泊使用はNG」というスタンスを明確にされています。

 

URの部屋を民泊利用している実態

URの部屋を利用して隠れ民泊を営業しているという話はこのニュースで初めて知りましたが、ネットで検索していると、ご自身がURに住んでいて、民泊利用をしていると思われる部屋をURに通報して調査してもらった経験のある人もいるみたいです。

URは国がほぼ全額を出資する独立行政法人である点を考えると、民泊利用のように借主が転貸で利益を得るようなビジネスには利用すべきではないと思います。

今回はテレビのニュースになったので、URも今後の対応は厳しくなるのではないでしょうか。

 

海外からの宿泊客の方々

海外からネットで違法にあたる民泊(もちろん許可をとった合法な民泊もあります)を予約してしまった方は、「まさか違法だなんで思ってもみなかった」という方が多いのではないかと思います。

私も世界的に有名なサイトで予約した宿が、まさか違法だなんで思わないと思います。

今回、宿泊客の方は突然のインタビューでびっくりされたのではないでしょうか。

悪いのは、知らずに予約した宿泊客ではなく、そもそもそういった違法営業の宿を世界的に有名なサイトで堂々と予約するようなことが出来ないように、違法営業している人をきちんと取り締まるべきだと思います。

 

まとめ

まとめ宿泊施設が足りないという状況ではありますが、だからと言って、今の法令に反するような事をしても良いというわけではありません。

今回のニュースに出てきた部屋(既にAirbnbのサイトからは削除されているみたいです)が消防設備を備えていたのかは判りませんが、消防設備や避難経路など、宿泊客や近隣住民の安全に関わるようなところは非常に重要だと思います。

また、今回の報道のようにURで民泊を禁止しているにも関わらず、規約違反で営業をするような民泊が増える事で「民泊=悪」というイメージになると、ますます近隣住民の民泊に対する見方も厳しくなって対立が明確になってくると思います。

近隣住民を無視した民泊ビジネスは、貸す側と借りる側だけにメリットがあって、周りにとっては不快感や不安など損しかないようなビジネスになってしまいます。

せっかく新しいビジネスとして始まろうとしている「民泊」が成長するためにも、法令を遵守(現時点では旅館業登録か特区民泊申請)して、民間と行政が一体となって、今後の民泊ビジネスの土台を作っていって頂きたいと思います。

貸す側、借りる側、近隣住民の「三方よし」となって、初めてビジネスとして大きくなるのだと思います。

 

 

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行政書士・宅建士 横関雅彦
民泊申請専門行政書士・民泊運営コンサルタント。旅館業許可申請などの民泊ビジネスの申請サポート及び運営コンサルタントを行う。宅地建物取引士の資格も持ち、不動産売買の面でも民泊ビジネスをサポート。 また、総合旅行業務取扱管理者の資格も持ち、将来的に旅行業と民泊をつなぐサポートも展開したいと考えている。