平成28年6月2日に規制改革実施計画の閣議決定がありました。
今回の閣議決定で、民泊に関する新たな法律の全貌がほぼ見えてきました。
それでは、今回の民泊に関する規制改革計画の内容をみてみましょう。
民泊サービスにおける規制改革
適切な規制の下でニーズに応えた民泊サービス(住宅を活用した宿泊サービスの提供。以下「民泊」という。)が推進できるよう、以下の1.~3.の枠組みにより、類型別に 規制体系を構築することとし、各種の「届出」及び 「登録」の所管行政庁についての決定を含め、早急に法整備に取り組む。
この新たな枠組みで提供されるものは住宅を活用した宿泊サービスであり、ホテ ル・旅館を対象とする既存の旅館業法(昭和23年法律第138号)とは別の法制度とする。
なお、
- 法律の施行後、その状況に応じた見直しを必要に応じて行うこととする。
- 「届出」及び「登録」の手続はインターネットの活用を基本とし、マイナンバーや法人番号を活用することにより住民票等の添付を不要とすることを検討するなど、関係者の利便性に十分配慮する。
- 既存のホテル・旅館に対する規制の見直しについても、民泊に対する規制の内容・程度との均衡も踏まえ、早急に検討する。
1.民泊の類型
(1)家主居住型
<要件>
①個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅であること。
②提供日に住宅提供者も泊まっていること。
③年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこ と。
「一定の要件」としては、年間提供日数上限などが考えられるが、既存の「ホテル・旅館」とは異なる 「住宅」として扱い得るようなものとすべきであり、年間提供日数上限による制限を設けることを基本として、半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する。
なお、その際、諸外国の例も参考としつつ、既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する。
<枠組み>
○届出制とし、以下の事項を義務化する。
・利用者名簿の作成・保存
・衛生管理措置(一般的な衛生水準の維持・確保)
・外部不経済への対応措置(利用者に対する注意 事項(騒音、ゴミ処理等を含む)の説明、民泊を行っている旨の玄関への表示、苦情等への対応など)
・(集合住宅(区分所有建物)の場合)管理規約違反の不存在の確認
・(住宅提供者が所有者でなく賃借人の場合)賃貸借契約(又貸しを認めない旨の条項を含む)違反の不存在の確認
・行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供
○住宅として、住居専用地域でも民泊実施可能とする。
地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能とする。
○宿泊拒否制限規定は設けない。
(2)家主不在型
<要件>
①個人の生活の本拠でない、又は個人の生活の本拠であっても提供日に住宅提供者が泊まっていない住宅であること。(法人所有のものも含む。)
②年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。
「一定の要件」としては、年間提供日数上限などが考えられるが、既存の「ホテル・旅館」とは異なる 「住宅」として扱い得るようなものとすべきであり、年間提供日数上限による制限を設けることを基本として、半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する。
なお、その際、諸外国の例も参考としつつ、既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する。
③提供する住宅において「民泊施設管理者」が存在すること。(登録された管理者に管理委託、又は住 宅提供者本人が管理者として登録。)
<枠組み>
○届出制とし、民泊を行っている旨及び「民泊施設管理者」の国内連絡先の玄関への表示を義務化する。
○住宅として、住居専用地域でも民泊実施可能とする。地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能とする。
○宿泊拒否制限規定は設けない。
2.民泊施設管理者
○登録制とし、以下の事項を義務化する。
- 利用者名簿の作成・保存・衛生管理措置(一般的な衛生水準の維持・確保)
- 外部不経済への対応措置(利用者に対する注意事項(騒音、ゴミ処理等を含む)の説明、苦情等へ の対応など)
- (集合住宅(区分所有建物)の場合)管理規約違反 の不存在の確認 ・(住宅提供者が所有者でなく賃借人の場合)賃貸借契約(又貸しを認めない旨の条項を含む)違反の不存在の確認
- 行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供
○法令違反行為を行った場合の業務停止、登録取消を可能とするとともに、不正行為への罰則を設ける。
3.仲介事業者
○登録制とし、以下の事項を義務化する。
- 消費者の取引の安全を図る観点による取引条件の説明
- 当該物件提供が民泊であることをホームページ上に表示
- 行政当局(保健衛生、警察、税務)への情報提供
○届出がない民泊、年間提供日数上限など「一定の要件」を超えた民泊を取り扱うことは禁止。
○法令違反行為を行った場合の業務停止、登録取消を可能とするとともに、不正行為への罰則を設ける。
まとめ
今回の規制改革実施計画で、住居としての民泊は通年の営業が出来ないということが、ほぼ決まって来ました。
これからは、新法のルールの中で、合法的にどのような形態で営業をするのかが、ビジネスとしてのポイントになるかと思います。
※2018年、住宅宿泊事業法は施行されました。
対象は、住宅宿泊事業者、住宅宿泊管理業者、住宅宿泊仲介業者であり、人を宿泊させる日数が180日を超えないものとされています。