「民泊ビジネスを始めたいのですが、何から始めればいいのかわからなくて・・・」というご相談をよく頂きます。
一言で民泊といっても「旅館業としての民泊(旅館業民泊)」「国家戦略特区内での民泊(特区民泊)」「民泊新法での民泊(新法民泊)」の3種類の民泊があります。
民泊に関する法令を知らずに、先に物件を購入してしまうと、後から「合法で民泊が出来ないとわかった」ということになる可能性もありますので、注意が必要です。
3種類の民泊をどのような基準で選んで、民泊ビジネスをどのように始めるのかといった「民泊を始める手順」をわかりやすくご説明したいと思います。
「民泊とは何か」を知る
そもそも「民泊」とは、どんなものなのでしょうか。
民泊を始めるには、民泊とはどういったものかを知っておく必要があります。
本来は無償で宿泊場所を提供することを指していた民泊という言葉が、現在ではどのような意味で使われ、どんな法律で規定されているのかといった、全体像をみておきましょう。
まずは『民泊とは』のページでご説明しております概略をご参照下さい。
「民泊の種類」を知る
民泊には「旅館業民泊(簡易宿所)」「特区民泊」「新法民泊」があります。
それら3種類の民泊が、それぞれが異なった法令で規定されています。
それぞれの民泊のメリットとデメリットを知って、どのタイプの民泊があなたご自身が考える民泊ビジネスに合っているかを知ることが、民泊ビジネスを始める際に非常に重要になります。
まずは、どういった種類の民泊があるのかを、以下に簡単にみておきましょう。
旅館業民泊(簡易宿所)
後ほど詳しくご説明しますが、営業日数の制限がなく、宿泊日数の制限もない「旅館業民泊(簡易宿所)」は、年間を通して本格的に民泊ビジネスをおこないたい人には、一番良い選択肢だと言えます。
しかし、旅館業民泊(簡易宿所)は住居専用地域では出来ない点や、消防法や建築基準法などで厳しい条件がありますので、許可を取るのが一番難しい民泊だと言えます。
旅館業民泊(簡易宿所)に関しましては、旅館業法という法律で規定されています。
詳しくは『旅館業法(簡易宿所)』をご参照下さい。
特区民泊
特区民泊は、国から認定された国家戦略特区という地域の自治体の中で営業ができる民泊です。
特区民泊は、2023年10月時点では東京都大田区、千葉市、新潟市、北九州市、大阪府、大阪市、八尾市、寝屋川市にて認定されています。
制定された当初の特区民泊の最大の特徴は「宿泊日数が6泊7日以上」としている点でした。
1泊~2泊という旅行客が圧倒的に多いため、6泊以上という条件は、非常に厳しい条件だったので、ほとんど活用されていませんでした。
しかし2016年9月9日の国家戦略特区諮問会議で「6泊7日以上」という滞在期間の要件が「2泊3日以上」に緩和されることになり、特区民泊が一気に注目されることになりました。
さらに特区民泊は、住居専用地域で営業できるとした自治体と、旅館業のようにホテルの営業が出来る地域でなければ営業できないとしている自治体があります。
特区民泊に関しましては、各自治体の民泊条例で規定されています。
詳しくは『特区民泊とは』をご参照下さい。
新法民泊
新法民泊の最大の特徴は手軽に民泊を始められる点です。
住宅を宿泊施設として貸し出すことができますので、住居専用地域での営業も可能です。
また、旅館業のような「許可制」ではなく「届出制」なので、届出をすれば営業が出来ることになります。
インターネットで簡単に届出が出来るという点も大きな特徴です。
ただし、新法民泊には年間180日未満で設定される営業日数の上限があります。
この営業日数の制限が新法民泊の大きなポイントだと言えます。
また、新法民泊を条例で禁止することも出来るとされる予定ですので、民泊禁止の条例を制定された自治体では新法民泊は営業が出来ません。
詳しくは、『民泊新法(新法民泊)』をご参照下さい。
3つの民泊の比較
以下の記事で、3つの民泊の違いを一覧表にして、わかりやすく説明しておりますので、是非ご参照下さい。
「民泊物件が適法か」を調べる
民泊を始めるには、民泊施設となる物件の「用途地域」と「管理規約(マンションの場合のみ)」「容積率(一棟マンションのみ)」を調べる必要があります。
これらを調べずに物件を購入してしまうと、後で実は民泊が出来なかったとわかって後悔することにもなりかねませんので、この3点は必ず確認するようにして下さい。
【合法民泊のポイント1】用途地域
建物には「住居」「病院」「工場」のように用途というものが決められています。
その用途ごとに、建てることが出来る地域と出来ない地域が決められています。
旅館・ホテルは以下の図の青塗りの地域のみ建てることができます。
ですから、旅館業民泊(簡易宿所民泊)と一部特区民泊は、この青塗りの地域以外では許可を取ることが出来ません。
一方、新法民泊の宿泊施設の用途は「住宅」なので、工業専用地域以外の全ての地域で営業が可能です。
用途地域に関して更に詳しく知りたいという方は『用途地域とは』をご参照下さい。
【合法民泊のポイント2】管理規約(マンションの場合のみ)
管理規約とは、共用部分の範囲、使用方法、理事会の権限や義務などマンションの管理組合運営に必要なことを決めている「マンションのルール」です。
それぞれのマンションごとに管理規約が存在しますが、通常のマンションは、国が雛型として作成した「マンション標準管理規約」をそのまま採用しているケースがほとんどです。
このマンション標準管理規約には「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」と書かれています。
つまり「住む目的以外の使用は出来ない」という意味です。
2015年12月22日の会見で、石井国土交通相大臣に対して、この「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」という部分に関しての質問がありました。
(問)1つ前の質問の確認ですが、マンションの管理規約と民泊の関係については、あくまでも考え方としては、特区であろうが法整備がなされようが、マンションを使った民泊については、管理規約の改正が必要だというお考えでよろしいでしょうか。
(答)国土交通省としては、マンション標準管理規約では、「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」とされておりますけども、こういった規約のあるマンションで、特区民泊を実施する場合には、管理規約の改正が必要になると考えております。
一方、先ほど申し上げた国家戦略特区ワーキンググループの有識者の委員からは、「むしろ、特区民泊は標準管理規約上の住宅に含まれるという見解を積極的に打ち出すような通知を発出すべき」という異論が表明されたため、更に説明が必要であると判断して、当面、事務連絡を出すことをやめるということにしたものであり、今後、私どもの考え方を御理解していただけるよう、引き続き説明に努めてまいりたいと思っています。
石井大臣会見要旨
つまり、「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」と記されている管理規約を採用しているマンションでは、どのタイプの民泊も営業することはできないということになります。
民泊としてマンションの一室を利用する場合は、この管理規約を変更しなければいけないと回答されたのです。
(回答では「特区民泊を実施する場合には」という言い方になっていますが、質問では「特区であろうが法整備がなされようが」と言われているので、新法民泊でも管理規約の変更は必要だと解釈しても良いと思います。)
マンションで合法で民泊をおこなう場合は、管理規約に「民泊ができる」とされているか確認する必要があります。
管理規約に関しては『マンション管理規約とは』で詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。
【合法民泊のポイント3】容積率(一棟マンションの場合のみ)
容積率とは、敷地面積に対する建築物の延床面積の割合です。
延床面積とは、建物の各階の床面積の合計のことをいいます。
2016年6月にホテル容積率の緩和がおこなわれるまで、一棟マンションをホテルとして旅館業許可を取ることが困難でした。
しかし、ホテル容積率の緩和で一棟マンションでも旅館業許可が取れる可能性が大きく広がりました。
ただし、このホテル容積率の緩和は国全体で決まったわけではなく、緩和するかの判断は各自治体に委ねられています。
ですから、ホテル容積率を緩和しない自治体にあるマンションでは、今まで通りホテルへの用途変更が出来ない場合もありますので、ご注意下さい。
容積率に関しては『ホテル容積率の緩和とは』をご参照下さい。
「民泊ビジネスのスタイル」を決める
冒頭でご説明しましたように、民泊には「旅館業民泊(簡易宿所)」「特区民泊」「新法民泊」の3つの種類があります。
どのタイプの民泊ビジネスを始めるかを決めるにあたって、「営業日数」と「宿泊日数」という2つの条件が非常に重要なポイントになります。
この点は十分吟味してご検討下さい。
それでは、営業日数と宿泊日数にどのような条件があるのかをみてみましょう。
営業日数
営業日数は民泊施設を提供出来る日数です。
営業日数を制限されるということは、民泊として収益をあげることが出来る日数が限られてしまうということになりますので、非常に重要なポイントになります。
営業日数制限がない民泊
「旅館業民泊(簡易宿所)」と「特区民泊」には営業日数の制限がありません。
ホテルと同じように年間を通して民泊施設を提供するようなビジネスを考えられている場合は、旅館業民泊(簡易宿所)か特区民泊が選択肢にあがると思います。
※特区民泊は国家戦略特区として認定されている自治体でのみ可能です。
営業日数制限がある民泊
「新法民泊」の最大のポイントは、営業日数の上限を設定されている点です。
但し、制限されている営業日数はあくまで「民泊」としての営業日数ですので、マンスリーマンションのように1ヶ月単位で賃貸するようなビジネスは可能です。
民泊と賃貸借契約を組み合わせたビジネス例を『新法民泊ビジネス「チャンス」と「アイデア」』でもご紹介しておりますので、ご参照下さい。
宿泊日数
宿泊日数の条件がつけられている民泊もあります。
この点を見落としてしまうと、営業許可を取った後に全く集客が出来ないという可能性もありますので、十分注意をして下さい。
宿泊日数の条件がない民泊
「旅館業民泊(簡易宿所)」と「新法民泊」には宿泊日数の制限はありません。
1泊から宿泊施設の提供が可能です。
宿泊日数の条件がある民泊
「特区民泊」は「2泊3日以上」という宿泊日数の条件があります。
宿泊日数制限に関しましては『民泊条例|宿泊日数の制限』でもご説明しておりますので、ご参照下さい。
「どんな建物が良いか」を知る
民泊で利用できる施設としては、主に一軒家、マンション一棟全部とマンションの一室の3つのパターンがあります。
それでは、それぞれの特徴をみてみましょう。
一軒家民泊
合法的に民泊をおこなう場合、一軒家が最も向いていると言えます。
用途制限で宿泊施設が営業出来ない用途地域であっても、新法民泊であれば営業日数の制限までは営業が可能です。
宿泊施設の営業が可能な地域であれば、旅館業(簡易宿所)の営業許可を申請することも可能です。(消防法やトイレの数など、自治体によっては問題もありますので、必ず許可が取れるということではありません。)
マンション一棟民泊
合法民泊のポイントでご説明しましたように、住宅用マンションからホテルなどの宿泊施設に建物の用途変更をする場合、容積率の問題がありました。
ホテル容積率の緩和で、住宅マンションからホテルなどの宿泊施設へ用途変更出来る可能性も広がりましたが、「ホテル容積率の緩和」を実施しない自治体もありますので、注意が必要です。
詳しくは『ホテル容積率の緩和とは』をご参照下さい。
マンション一室民泊
どのタイプの民泊にしても、一番営業が難しいのがマンションの一室での民泊です。
旅館業民泊(簡易宿所)の許可を取る場合は、建物の用途変更と消防設備が問題になります。(詳しくは『ワンルームマンションで民泊開業が難しい3つの理由』をご参照下さい。)
新法民泊の場合は建物の用途や用途地域といった問題はありませんが、「マンション管理規約」という大きな壁があります。
マンションの一室で民泊を始める場合、絶対に確認しなければいけないのが「マンション管理規約」です。
管理規約で「民泊禁止」とされている場合、どのタイプの民泊もすることはできません。
合法的にマンションの一室で民泊が出来るケースとしては、「民泊営業ができる」と明記されているマンション管理規約を採用しているマンションでの新法民泊になると思います。
「民泊物件の入手方法」を決める
民泊を始めるには物件を入手しなければいけません。
既に物件をお持ちの方(所有物件)もいらっしゃると思います。
これから物件の購入を検討されている方(購入物件)、または物件を借りて転貸を検討されている方(転貸物件)もいらっしゃると思います。
それでは、「所有物件」「購入物件」「転貸物件」のそれぞれの場合の注意点をみてみましょう。
まず最初にチェックする点
先程のお話と重複する点もありますが、物件を決める際に以下の点をチェックする必要があります。
条例
旅館業許可の詳細な条件は各自治体の条例で規定されています。
民泊新法では、新法民泊を条例で禁止することも出来るとされる予定ですので、民泊禁止の条例を制定された自治体では新法民泊は営業が出来ません。
どのタイプの民泊を始める場合でも、民泊を始める地域の条例の内容を確認しておく必要があります。
用途地域
まずは物件が、旅館・ホテルが営業出来る用途地域内にあるかを調べます。
旅館・ホテルが営業出来る地域であれば、とりあえず全ての種類の民泊が候補になります。
もし住居専用地域にように旅館・ホテルが営業出来ない地域であれば、営業できるのは「新法民泊」となります。
特区内の物件であれば、特区民泊が出来る場合もありますが、「2泊以上」という宿泊条件がありますので、そこを考えに入れる必要があります。
マンション管理規約
マンションで民泊を始める場合、管理規約に民泊が出来る旨が明記されている必要があります。
管理規約に「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」とされているマンションでは民泊は出来ませんので、ご注意下さい。
既に所有している物件で民泊を始める場合
既に所有されている物件で民泊を始める場合、物件のある場所の用途地域を調べます。
宿泊施設の営業が出来る地域であれば、旅館業民泊(簡易宿所)と新法民泊のどちらも出来る可能性があります。
但し、マンションの場合は、先程ご説明しました通り、どのスタイルの民泊でも、管理規約に民泊が禁止されていない必要があります。
年間を通して民泊営業をしたい場合は「旅館業民泊(簡易宿所)」、制限された営業日数の範囲内での営業でもよければ「新法民泊」が良いと思います。
物件を購入して民泊を始める場合
物件を購入して民泊を始める場合、「購入後に営業が出来ないとわかった・・・」と、ならないように細心の注意を払う必要があります。
マンションの場合は管理規約の確認が必要です。
旅館業民泊(簡易宿所)を考えている場合は、用途地域の確認は当然ですが、それ以外にも各自治体が条例で細かく条件を決めていますので、物件を購入する前に管轄の保健所に相談にいかれることをお勧めします。
特区民泊を考えられている場合、宿泊日数が2泊以上という点を忘れないようにしておいて下さい。
一棟まるまるマンションを購入して旅館業許可を取ろうと検討されている場合、マンションがある自治体が「ホテル容積率の緩和」を実施しているか(宿泊施設への用途変更が可能か)を必ず確認する必要があります。(詳しくは『ホテル容積率の緩和とは』をご参照下さい。)
物件を転貸して民泊を始める場合
転貸で民泊を始めようと検討している方から、「大家さんから承諾をもらっているから、民泊できますよね」というご質問を頂くことがあります。
大家さんの転貸の承諾と民泊営業許可は全く別物です。
大家さんには、あなたが旅館業の営業をする許可を与える権限はありません。
同じように「民泊仲介サイトから認定されている物件であれば大丈夫でしょうか?」というご質問を頂くこともありますが、これも大家さん同様に、民泊仲介サイトには、あなたに旅館業の営業許可を与える権限はありません。
旅館業の営業許可の権限をもっているのは都道府県知事(一部市長又は区長)です。
民泊をする場合は、民泊の経営者であるあなた自身が許可申請又は届出をしなければいけません。
あなたが物件を転貸して無許可の違法民泊を営業していたとします。
万が一、火災や事故などのトラブルがあった場合、民泊の経営者であるあなたが責任者として、責任を問われる可能性もあります。
違法営業となると、保険がおりないという可能性もありますので、決して違法な民泊はおこなわないように注意して下さい。
「民泊を始めるための手続」をおこなう
「旅館業民泊」「特区民泊」「新法民泊」のどのスタイルの民泊を始めるかを決めたところで、次に営業をするための許可、又は登録をしなければいけません。
「旅館業民泊」「特区民泊」「新法民泊」それぞれ手続の方法が異なりますので、一つずつ見ていきましょう。
旅館業民泊(簡易宿所)の許可申請
旅館業の許可は各自治体の条例で条件が細かく規定されています。
A市では許可がおりた物件と同じ条件の物件がB市では許可が出ない、ということは十分考えられます。
物件を購入した後で旅館業の許可が出ないということにならないように、物件が内定したところで、物件の所在地を管轄する保健所の窓口へ行って、その物件が旅館業の許可が取れるかの相談にいかれることをお勧めします。
旅館業民泊の許可申請方法に関しましては『民泊の許可申請方法【旅館業許可申請】』で詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。
特区民泊の許可申請方法
特区民泊を申請する場合、管轄の自治体窓口に必要書類を提出します。
22023年10月時点では東京都大田区、千葉市、新潟市、北九州市、大阪府、大阪市、八尾市、寝屋川市にて認定されています。
以下、特区民泊の申請に関しての自治体のページになります。
東京都大田区:大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)
大阪府:国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(いわゆる「特区民泊)」に関する情報提供
千葉市
新潟市
北九州市
大阪市
八尾市
寝屋川市
新法民泊の届出方法
新法民泊は許可制ではなく届出制です。
住宅宿泊事業の届出は、原則として民泊制度ポータルサイト内の民泊制度運営システムを利用します。従来の書面による届出も可能です。
オンラインで申請するメリットは以下になります。
1.窓口に行かずに届出・申請等の手続きをオンラインで処理が可能。
2.入力チェック機能等により、不備のない書類を作成しやすい。
3.過去の手続きも含め、自らの事業に関する行政手続きの情報管理が可能。
4.住宅宿泊事業者の場合は、宿泊日数等の定期報告もオンラインで行うことが可能。
「民泊に関するトラブル」を知る
「一般の住居を不特定多数の人に宿泊施設として提供する」新しいビジネスモデルである「民泊」は、今までの例が無いために、さまざまなトラブルも発生しています。
貸す側のトラブル、借りる側のトラブル、近隣住民のトラブルなど、いろいろなケースがありますので、民泊ビジネスを始める前にはこういった事例を確認されることをおすすめします。
「違法営業の危険性」を知る
違法営業をした場合、一番怖いのがトラブルが起こった場合です。
旅館業法や建築基準法、消防法などに違反した営業をして、万が一トラブルがあった場合、賠償問題などで大変なことになる可能性があります。
火災保険なども一般住居と宿泊施設のものは条件も保険料金も全くことなります。
違法行為で火災になった場合は保険がおりないという可能性もあります。
(火災保険に関しては『民泊で火災がおこったらどうするの?』もご参照下さい。)
窓がなかったり、消防設備がなかったために宿泊者が死亡してしまったというようなこともありえます。
宿泊者の安全確保のためにも、絶対に法令を守って営業するようにして下さい。
「民泊ビジネスに関する税金」を知る
「副業として民泊を始めたい」と思われている方もいらっしゃると思います。
サラリーマンをしていると源泉徴収されているのであまり気になりませんが、副業で収入が出た場合、収入額によっては所得税や住民税、厚生年金などの社会保険料もあがる可能性があります。
その場合、確定申告をしなければ脱税行為となる可能性があります。
所得税以外でも不動産の売買のような一時的な利益にも税金がかかる場合があります。
突然税務署から電話がかかってくるようなことがないように、税金に関してはきちんと調べて、確定申告が必要な場合は必ず確定申告をしましょう。
民泊ビジネスを始める場合に関係する税金に関しては、『民泊用物件購入時に知っておきたい不動産用語』でもご説明しておりますので、ご参照下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「旅館業民泊(簡易宿所)、特区民泊、新法民泊のどれも一長一短で、自分の要求の全てを満たせるものが無い!」と思われた方もいらっしゃるかと思います。
「マンション標準管理規約を採用している場合は民泊が出来ないというのは厳し過ぎる!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、貸す側だけではなく、借りる側、その近隣住民の「三方よし」となって、はじめて民泊ビジネスが成長できるのだと思います。
「営業日数が制限されたらビジネスとして成り立たない!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、民泊の規制を緩め過ぎて、厳しい規制を守って営業を続けている既存のホテル・旅館業界に打撃を与えるようなことになれば、結果として民泊も含めた宿泊業界や旅行業界にもマイナスになってしまうと思います。
一つの立場の人だけの要望を全部聞いてしまうと、他の人にシワ寄せがいってしまいます。
「民泊」を健全な成長ビジネスとするためには、旅館業界の方や民泊の近隣住民の方へも配慮したルール(法令)作りが必要だと思います。
それぞれの立場の人たちが少しずつ歩み寄ることで、「三方よしのビジネス」になるのだと思います。
是非、民泊が「三方よしのビジネス」になるように、私自身も、何か少しでも役に立てればと思っています。
これから民泊ビジネスを始められる皆様の成功を心よりお祈り申し上げます。